「けもの」の本能 - R e t u r n - Black bag side
柊木緋楽
プロローグ
「ど、どうシテ…。どうしテ、あなたはそんなにこんな。役にも立たなイフレンズ達を助けたがるんですカ…?」
かばんの目の前で、黒を纏ったもう1人の“かばん”…黒かばんが、かばんを睨み付けながら言う。
そんな黒かばんに首を絞められ、苦しみながらも、かばんは彼女を見つめて言った。
「役に……立ちますよ。役に立たないのはあなたです。あなたはヒトを名乗れるような立場じゃありません。」
「えエ? あなたの言ってる内容、ボクには全く理解出来ませんヨ?」
黒かばんはそう言い。
狂ったその笑顔をかばんに向けた。
「アハ……アハハッ……! アーハッハッハッハ! 全く理解できませン! だっテ、所詮動物なんてただの害獣じゃないですカ! 腹が減ると農家の畑を漁っテ、貪り食っテ! 挙げ句の果てには荒らして帰リ!ただの」
「確かに、フレンズ化していない動物達はそうだと思います! でも、ここにいるのはヒトの知能や記憶力、理性を備えたフレンズたちです!」
首を下から締め上げられているかばん、そしてそのかばんの首を締め付けている黒かばんは、再び睨み合った。
「フレンズ? そんなの全く関係ありませン。 それニ、野生暴走を始めたフレンズ達にハ、理性なんてありませんヨ。」
苦し紛れにかばんはあがきながら言う。
「……何言ってるんですか。……ちゃんと野生暴走したフレンズにだって、理性はありますよ。」
黒い顔の中に沈むその目が、その者の残酷さを際立てる。
そして、その者……黒かばんは真っ黒な笑いを浮かべながら言う
「はは……ッ。あははははははッ! おかしな事を言っているのハ、あなただけですヨ!? 理性モ、知能モ、記憶力モ! 何一つ獣には無いんですヨ!? それがどうしテ、サンドスターを供給しただけで備わると思っているんですカ!?」
何故……こうなってしまったのか。
何も分からないまま、今に至る。
何か、良い手は無いだろうかと、かばんは周りを見つめて言った。
「……そうだ。」
「けもの」の本能 - R e t u r n - Black bag side 柊木緋楽 @motobakaahomaker
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