1話 俺の飛ばされた異世界には教育がない件

「ヨシちゃんいよいよだね!」

俺の親友の優輔がそう言い微笑むが

その顔は少しこわばってる気もする

━━そう今日は俺ら二人の第一希望大学の試験日だ。

「?ヨシちゃん大丈夫顔色悪いよ」

「ま、まぁ武者震いだよ

大丈夫だこういう時は俺の婆ちゃんの

おまじないを…」

「おまじない?」

「手のひらに『ち』ってかいてなめるんだよ」

「それ『す』だよヨシちゃんそれ怖いから!」

え そうなの。初耳なんすけど

「それより着席時間より7分あるよ

参考書とか読み直そうよ」

それもそうだと俺も納得しリュックから

それらを出そうとするが

「ヨシちゃん?」

「Bladder is gonna explode emergency.

(膀胱が破裂しそうです。)」

「…!? 早く行きなよ!?」

俺はトイレへと向かった。

向かったはずだった。

「は?」

トイレの扉を開けた先にあったのは

トイレではなく異世界でした。




「……!?」

ようやくわれにもどり取り敢えず

引き返そうと振り返るが

そこに扉はなかった。

扉があった場所には大きな門があった。

その門の奥に見えるのは見たことのない

デザインの建造物。

しばらくそれに視界を奪われていたが

尿意が現実へ俺を引き戻す。

「やばっ」

俺は少し先のこれもまた

見たことのない木の影に身を潜め目的を達成する

「…で どうしようか。」

こういう異世界ものの小説は

よく読んでいた俺で憧れてもいたが

いざ体験すると本当に困る。

いやだって受験まえっすよ。

どうするんすか今までの人生

18年無駄じゃねえかよ。

まぁ今はそんなこと

考えてる暇はないしな。取り敢えず

定番の宿屋だろうん。

俺は門をくぐり街の中へとはいる

「獣人いるじゃん。」

改めて異世界に来たことを

ひしひしと感じる俺だが

一つ気になることがあった

気になるというか違和感なんだが

「文字がないんすけど」

彫刻などはあるが文字がないのだ。

そういや地図とかもねえじゃん。

…え? 嘘だろ?

俺はこの世界にとんでもない不安を感じた。

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