宿泊レポート:ヒルベルト無限旅館
腹筋崩壊参謀
【宿泊レポート】昼辺・瑠斗無限旅館
-----------◇はじめに◇-----------
今年のゴールデンウィーク、皆様はどう過ごされましたでしょうか。今までなかなか長期休暇を取ることが出来なかった私ですが、今年はたっぷり休みを確保する事ができましたので、以前から気になっていました和風温泉旅館『
失礼ながらあまり聞き慣れない名前の旅館かもしれませんが、この機会に皆様へその魅力をたっぷり紹介したいと思います。
なお、無限旅館内で撮った写真や動画をネットに掲載するのは旅館側の都合でNGとなっておりますので、宿泊の際には十分ご注意ください。
-----------◇旅館の外見・アクセスについて◇-----------
まるで双子や鏡合わせのように連なる2つの山が、旅館へ向かう目印となっています。
車で直接向かうと狭い細道を長時間進む必要がありますので、地方私鉄の電車で最寄り駅まで乗り、そこから旅館の女将さんが運転する事前予約制の送迎バスを用意してもらうのをお勧めします。バスの運賃は宿泊料金に含まれていますのでご心配なく。
女将さんの案内で入口に向かうと、目の前に現れるのは『無限旅館』と言う名前の意味が瞬時に理解できる和風の建物。
『巨大』という言葉が安っぽく感じてしまうほど、地平線のはるか彼方まで左右果てしなく続く、尋常じゃないほどの大きさの建物が、私たちを出迎えてくれます。
人によっては心臓が飛び出そうなほど驚く光景ですが、いざ中へ入りますと(良い意味で)普通の和風旅館と同様、落ち着いた雰囲気の受付や土産物の売店などが並んでいますのでご安心を。
ただし、今回は旅館内で迷わないよう、念のため受付近くの部屋を予約する事にしました。
なお、急な予約でも大丈夫ですが建物内での遭難と言う危険性や後述の部屋移動の関係から、なるべく事前に予約を入れてほしいという女将さんからの伝言を預かりましたので一緒に記しておきます。
-----------◇部屋について◇-----------
『無限旅館』の名の通り、部屋の数は『無限』。
満室になっても満室にならないと言うこの不思議な建物は、当然ながら地図すら作れないほどに広く、延々と伸びる廊下は勿論、階段もエレベーターも上下方向へ果てしなく続くという現実離れした空間が広がっているのです。
幸い部屋の種類は無限でなく、和風部屋からベッド付きの欧風部屋まで数種類の中から選ぶ事が出来ます。どの部屋を選んでも窓からの美しい眺めがほぼ同じように楽しめるのがお勧めポイントかもしれません。
今回私が泊まったのは、オードソックスな和風部屋。
内部の設備やは言わずもがな、窓から眺める昼辺・瑠斗の双子山の光景は非常に美しいものでした。今回訪れたのがゴールデンウィークだった事もあり、2つの山は綺麗な緑に包まれていましたが、秋に来ると文字通り赤や黄色、橙色で彩られた絶景が楽しめますので、皆様もぜひ。
そしてもう1つ、個人的に気に入ったのが、女将さんが直々に作ったという旅館名物のお饅頭。
食べても食べても尽きる事なく『幸福』が訪れる、不思議な所以のある縁起の良いお菓子だそうですが、それを抜きにしても口の中で甘さがとろける、栗の風味豊かな非常に美味しい逸品です。売店でも単品から1000京個セットまで多数発売されていますので、気に入った方はぜひ購入されては如何でしょうか。
なお、無限に広がる建物の中で万が一迷子になっても、女将さんに頼めば一瞬で案内してくれますのでご安心を。と言うより、女将さんを呼んで目的地まで連れて行ってもらった方が良いかもしれません。
-----------◇露天風呂について◇-----------
今回紹介しています『
女将さん曰く、昼部山にある『昼辺温泉』由来の水には滋養強壮や疲労回復、瑠斗山の『瑠斗温泉』からは免疫機能の正常化、新陳代謝の促進などそれぞれ違った効能が含まれていますが、どちらとも温度や成分の関係でそのまま温泉に用いることは出来ず、一旦近くの施設で混ぜ合わせた上で旅館内の施設で用いる、と言うかなり変わった構造になっているそうです。
2つの源泉を混合したお湯はそのまま無料の飲料水としても振舞われている他、部屋の中のシャワーの水としても使われていますが、やはり大浴場や露天風呂を満たすお湯として堪能するのが一番。
沈む夕陽を眺めながら、まるで布団のように柔らかな温かさを保つ露天風呂に浸かる――まさに日常生活から飛び出した、素晴らしい絶景を味わうことができます。
そしてもう1つ、この旅館の温泉最大の特徴は設置された湯舟の大きさ。
客が泊まる部屋が『無限』に存在するだけあって、露天風呂も大浴場も先が見えないほど広大で、まるで海の中にいるような感覚になります。湖でも海でもなく、四方に広がる『露天風呂』の水平線に夕陽が沈む光景なんて、ここでしか味わえないかもしれません。
温水プールのように思う存分泳げる広さだ、と女将さんは冗談めいて語っていましたが、流石にマナー面で問題なので止めた方が良いでしょう。
なお、こちらも万が一『岸』=洗面所へたどり着けないという場合、女将さんを呼べばすぐ助けてくれるそうですのでご安心を。
-----------◇料理について◇-----------
露天風呂と並ぶ旅館のもう1つの楽しみと言えば、お腹一杯美味を堪能できる『料理』。
女将さん直々に作る夕食は和風、洋風、和洋折衷の3つから選ぶ事が出来、アレルギーやペットにもしっかり対応してくれるのが非常にありがたい所です。
2階には最大10の100乗人が収容可能な料亭が数え切れないほど連なっており、そちらで食べる事もできますが、今回は自室に用意してもらう形にしてもらいました。
山菜の天ぷらに大魚の煮つけ、おこげまで美味しいしじみ入りの味ご飯も絶妙な味でしたが、何より一番の名物は、猪の肉をふんだんに使ったジビエ鍋。
昼部山や瑠斗山の源泉を飲み、豊富な草木を食べながらたっぷり育ったという猪は、普通の豚肉とはまた違った独特の風味が格別です。
女将さん曰く、なんでもこの猪は北欧にいると言う無限に肉を生産できる不思議な猪と同種らしく、どうしてこの場所でも野生で暮らしているのかは不明とのこと。それでも美味である事は間違いないでしょう。これだけは胸を張って言えます。
朝食も勿論、女将さんが直々に作ってくれた美味しい朝ご飯が待っています。こちらは料亭での用意のみとなっていますので、あまりの広さに迷わないようご注意ください。まあ、いざという時には女将さんを呼べば直々に席まで案内してくれるので大丈夫ですが。
また、売店にはお握りや様々な総菜、お菓子も無数に売っていますので、小腹が空いたり軽めの昼食を食べたい時などにお勧めです。
-----------◇カワウソについて◇-----------
『
受付の近くにあるの部屋の中で、動物園や水族館顔負けの設備が整った環境の下のんびりと過ごしており、時折見せる仕草がとっても可愛かったのが印象に残っています。
一方で、定期的に女将さんが用意する魚を食べる時は打って変わって迫力満点、野性味あふれる豪快な食べっぷりを披露してくれます。皆揃って食べ盛りの食いしん坊なんです、と嬉しそうに語った女将さんの笑顔もまた印象に残っています。
種類はユーラシアカワウソ、かつて日本に分布していた絶滅種・ニホンカワウソに近いカワウソ。かつては本物のニホンカワウソも昼辺山や瑠斗山の川沿いに生息していたそうですが、残念ながらもう見ることは出来なくなっているそうです。
でも、『無限旅館』の傍でどこまでも連なる山の中に、もしかしたらひっそりと暮らしているかもしれない。いや、ひょっとして――女将さんの近くでこちらを眺めているカワウソたちを思い出す度、ついそう思ってしまいます。
-----------◇総評◇-----------
評価:★★★★☆
サービス、料理、窓から眺める大自然――どれを取っても最高の時間を過ごす事ができました。
ただ、何と言っても『無限』に続く廊下や階段、地平線が見える料亭、そして露天風呂に出来た水平線の彼方に沈む夕陽など、日常生活では決して味わう事のできない絶景を存分に楽しめると言うのが、無限旅館最大の見どころかもしれません。
どこまで行っても果てが見えない空間、気づけば恐怖を通り越してどこか爽快な気分も感じてしまう――皆様も機会がありましたら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
あともう1つ、この無限旅館を切り盛りする女将さん、非常に美人です。
胸に描かれた綺麗な一輪の花が可愛らしい着物姿は勿論、風にたなびく長髪に綺麗な花の髪飾りなどなど、どこをとってもまるで和装美人を描いた絵がそのまま実体化したような、本当に可憐な方です。
しかも接客態度は真摯かつ優しく、ほんの些細な困り事にも迅速かつ丁寧に対応して頂き、本当に助かりました。
それに料理の腕も、布団の用意の手早さもプロ級の腕前――こんな女将さんを持つ『無限旅館』は、ある意味幸せものかもしれませんね。
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ここまでは『
ある1点を除いて、私にはそこまで気になる箇所はありませんでしたが、場合によっては嫌な気分になってしまう要素もありますので、そういった方への事前の注意も兼ね、以下問題点を幾つか記しておきます。
-----------◆問題点◆-----------
・アクセスが若干不便
冒頭にも述べましたが、自家用車では行きづらいのは難点かもしれません。
一応旅館の傍には駐車場もありますが、無限大の広さをもつためどこに車を停めたかわからなくなる可能性もありますので、公共交通機関と送迎バスを利用したほうが良いかもしれません。
・部屋の移動について
『無限旅館』のサービスについて、唯一はっきりと欠点を述べるとすれば、時に部屋の移動を強いられてしまう事でしょう。
無限に部屋があるという特徴もあってか、数兆人や数京人、それ以上の数の客が一斉に訪れる場合も多く、中には文字通り『無限』人の団体客がやって来る事態もあります。その際、場合によってはそれ以前から宿泊していた客が別の部屋へ移動しなければならないのです。
運悪く、私が泊まっていた時もどこからかやってきた無限人の団体客――どこかの高校の先生たちだったそうですが、その人たちが急遽宿泊を要望してきてしまい、私を始めとする先客たちはそれまでの部屋からだいぶ遠い場所へ移動せざるを得なくなりました。
勿論、女将さんやその先生たちは申し訳ないと私たちに謝罪してきましたし、荷物の移動を非常に手早く手伝ってくれたお陰で私は簡単に目的の部屋へ移動する事が出来ました。それに理論上、無限人の客に宿泊してもらうにはどうしてもそういった対応を取らざるを得ないそうです。ただ、いちいち移動を強制させるなんてゆったりした気分が台無しだ、と苛立つ方もいるでしょう。現にそういう文句を口にしていた客も何名か目撃してしまいました。
皆様もこのような可能性があることを事前に知った上での宿泊をお願いします。また、こういった自体を防ぐためにも、無限旅館以外の旅館・ホテルも含め、宿泊施設を利用する際は事前予約をちゃんとするようにしましょう。
・女将さんについて
上記の『総評』で容姿端麗、接客も完璧、と紹介した無限旅館の美人女将さんですが、もう1つ紹介しなければならない特徴があります。
それは、この『
女将さんが全ての職務を1人で切り盛りしていると言う事ではなく、旅館で働く従業員――仲居さんは勿論、料亭にいる料理人も売店担当も、カワウソの飼育を手掛ける人も、果ては送迎バスの運転手まで、全員揃って同じ顔、同じ姿、同じ声、そして同じ名前を持つ女将さん本人。しかも数千や数万、数億と言う単位ではなく、目視しただけでも数十桁は軽く超える数の美人女将が、無限旅館の中に溢れかえっているのです。
合計何人いるのか、女将さんたちにも尋ねてみたのですが本人たちも把握しておらず、それどころか無限旅館の全体を管理するが故に『数』と言う概念自体が通用しないかもしれないとのこと。正直言って、私の頭で理解できる範疇を超えているかもしれません。
ただ、女将さん同士で意識や記憶が一部共有されているらしく、どんな異常事態にも無数の女将さんが素早く対応出来る体制が整っている、と言うのはのはちょっぴり羨ましいと思いました。流行りのクラウドや人工知能、量子コンピュータがどれだけ発達しようとも、この旅館でのおもてなしで負ける気はしませんわ、と女将さんたちが声を揃え自慢げに語っていたのが印象に残っています。
とは言え、どこまで行っても同じ顔、同じ姿、同じ声をした美人が無限に溢れると言う異様な光景が苦手な人も多いでしょう。そういった人にはあまりお勧め致しません。
流石の私でも、地平線の果てまでびっしりと覆いつくしながら見送ってくれた、女将さんの無限の笑顔と美声が未だに頭から離れていませんので……。
<追伸>
ここだけの話、女将さんはかなりの巨乳です。勿論、全員揃って。
宿泊レポート:ヒルベルト無限旅館 腹筋崩壊参謀 @CheeseCurriedRice
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