第14話 トレジャーハンター
リーゼを攫った黒い服を着た男を探して南へと向かったホライ達。
道中立ち寄った町で出会った下着泥棒から黒い服を着た男が南の古城へ向かったという情報を手に入れ、一刻も早くリーゼを助け出すため古城へと向かっていきました。
ホライ「うわー…これが古城かー…」
ホライは南の古城に到着すると、長い年月が経っていて所々崩れていたりボロボロになりつつも大きく聳え立つ城に目を奪われていました。
ニコル「…かつてここはとある神を信仰する教徒達が作り上げた城と聞いたことがありますが…今は見る影もありませんね…」
ヴィン「人一人見当たらない…城となれば牢があってもおかしくない…捕まえた奴を監禁するのにはうってつけの場所と言っていいだろう」
その城は確かに古びていましたが大昔に繁栄していたと思われる跡は今でも十分残っていました。
ホライ「…とにかく、ここに捕まってるかもしれないリーゼを早く助けに行かないと…」
ロゼ「ああ。でも落ち着いて行動しよう。リーゼを攫った奴らが、罠も何もなしに私達を通すとは考えにくいからな…」
ホライ「うん、分かってる。それじゃあ行こう」
ホライが先頭に立って古城入口へと向かい、それに続いて他の3人も向かっていきました。
ロゼ「…!?ホライ!!危ない!!」
ホライ「えっ!?」
ホライはロゼに言われて横を向くと、柱がこっちに向かって倒れてきていました。
ホライは早く進んでいたため3人より離れたところにおり、ロゼがホライを助けようとするも間に合いそうにありませんでした。
ホライ(ライズを…!!間に合って…!!)
「危ねぇ伏せろ!!」
ホライ「!?」
ホライが魔法を使って柱を壊そうとしたその時、どこからともなく人が現れて倒れてきた柱を蹴りで破壊してしまいました。
「危なかったな。大丈夫か?」
ホライが破壊された柱の方を見ると、スカーフを付けた男が前に立っていました。
ホライ「あ…ありがとう…?」
「ここは子供が遊び場にしていい所じゃないぜ」
ロゼ「ホライ!怪我はないか!?」
ロゼ達がホライの元に急いで駆け寄ってきました。
「ん?お前だけじゃなかったのか」
ホライ「ロゼ、僕は大丈夫。この人が助けてくれたんだ」
ロゼ「そうか…良かった…」
「ったくお前らいったい何者だ?ここは一般人が入っていいような場所じゃねーんだぞ?」
ヴィン「お前こそ何者だ。一般人がいていい場所じゃないと分かっていて何故お前は入っているんだ」
「な、何だよ急に喧嘩腰になりやがって…」
ホライ「ヴィン…!」
ホライはちょっと険悪になった二人の間に入って仲裁しようとしました。
ヴィン「冷静に考えてみろ、こんな古城に用があるのは攫われたリーゼを助けに来た俺たち以外に誰がいる?もしかするとそいつもリーゼを攫った奴の仲間なのかもしれないんだぞ」
ニコル「ヴィンの言う通りですね。ここはまずあの方がいったい何者なのかを調べるべきです」
ホライ「うーん…でも、悪い人には見えないけど…」
スカーフを付けた男はその話を盗み聞きしていて、小さくため息をついた後ホライ達に話しかけてきました。
「…何かよく分からないけど怪しまれてるみたいだな…」
ホライ「あ、聞こえてたんだ…」
「そりゃこんな静まり返ったところならひそひそ話も聞こえるわ…。分かったよ。俺が何者なのか、俺が何をしにここに来たのか教えてやる」
ホライ「え、いいの?」
「ああ、これでもう俺の事を怪しまないでくれよ」
スカーフを付けた男はそう言うと腰に手を当てて大威張りの姿勢で話し始めました。
「俺はコール。お宝を探し求めて世界中を駆け回るさすらいのトレジャーハンターさ」
ホライ「トレジャーハンター?」
ロゼ「なるほど。君はこの古城に宝物があると見てここにやって来たという訳だね?」
コール「いいや、それだけじゃないんだよな」
ロゼ「ん?それだけじゃない?」
コール「ああ、俺がここに来た目的は…ここにいる女性を見つけ出すことだ!」
ホライ「え?女性…?」
コール「ああ、俺の勘が言っている。ここにはとんでもなく美人な女性がいるってな!」
ヴィン「…どういう事だ?お前には女性の気配を察することが出来ると言うのか?」
コール「まあな!俺は昔からなぜかわからないけど女性の気配にものすごく敏感でよ。近けりゃ近いほどどんな女性なのか気配だけで知ることが出来るんだ。俺の勘が正しければこの遺跡にはクールで真面目な雰囲気の俺好みのお姉さんが…」
ホライ「ねえ!その勘、外れたことない!?」
ホライはコールが熱弁しているのを遮ってコールに問い詰めてきました。
コール「うおっ!?なんだよ急に!?」
ホライ「コールさんのその勘は本当に正しいの!?」
コール「あ…?ああ、俺のこの勘は一度たりとも外したことはないぜ!」
ホライ「…じゃ、じゃあここにリーゼがいるって言うのは間違いない…?」
ニコル「ええ。その人の勘と言うのが正しければ、リーゼはきっとこの古城にいるはずです」
ホライ「よし!そうと分かれば早速中に入ってリーゼを助け出そう!」
ホライは3人を引き連れて古城の内部へ走って行きました。
その時コールが大急ぎでホライ達の元に向かい、ホライの服の襟を掴んで止めました。
ホライ「わっ!ど、どうしたの急に?」
コール「どうしたのじゃない!!お前ら俺の女を横取りするつもりかよ!?」
ロゼ「よ、横取り?」
ホライ「あ、そっか…まずはこっちの事情も説明しなきゃ…」
ホライ達は自分達の紹介とここに来た経緯をコールに話しました。
コール「あー…何だそういう事か…。俺が探し求めていた女はお前らの仲間だったのか…」
コールは古城にいる女性がホライ達の仲間だと知って、少しガッカリしていました。
ホライ「何だかごめんね…」
コール「いや、謝らなくていいって。それに俺はまだ諦めた訳じゃない」
ホライ「え?」
コール「俺もお前達に連いていくよ。その捕まってるリーゼって言う女の子を一緒に助け出してやる」
ホライ「えっ本当に?」
コール「ああ。この城はなかなか大きいからな。闇雲に進んでたら迷子になりかねないぜ」
ニコル「なるほど…。そこであなたの女性の気配を感じ取る能力を使って私達を導くという訳ですね」
コール「その通りだ!」
ヴィン「…あわよくばかっこいい所を見せてリーゼを自分のモノにしようと企んでいないだろうな」
コール「ギクーッ!!いやそんな下心は持ち合わせちゃいねえよ。お前達の力になろうと思っただけだって」
ホライ(今思いっきりギクーッって言った気がする…)
コール「とにかく!お前達は早くその子を助け出さないといけないんだろ?だったら俺の力は必要になるはずだぜ?」
ロゼ「確かにそれは否定出来ないな。 でも私たちについて行くともしかすると危険な目に会う可能性もあるが…」
コール「安心しろって。いざとなったら自分の身は自分で守れるくらいの力はあるからよ。さっさと行こうぜ!」
コールはそう言って半ば無理やりにホライ達の仲間になって、古城へと入っていきました。
コール「お前らもっと早く歩けー!リーゼちゃんをこれ以上待たせるなー!」
ニコル「…しかし、あの人を加えて大丈夫なのでしょうか…」
ホライ「まあまあ、旅は道連れって事で…」
ニコル「…変な事に巻き込まれないと良いですが…」
ヴィン(だがあいつ…かなり腕は立つようだな…。倒れてきた柱を破壊した蹴り…常人には到底真似出来ないだろう…)
ホライ達はコールの勘を頼りに古城内部にどんどん進んでいきました。
サイズ「へっへっへっー絶対にびっくりするよ~」
黒衣の男「…早くしろ」
サイズ「急かさない急かさない。それじゃあオープンザドアー!」
黒衣の男「…ほう。ようやく作り上げたか」
サイズ「ふふふっ、まだ試作段階だけどねー。でも、威力はけっこうすごいよ」
黒衣の男「そうか…ご苦労だったな」
サイズ「驚いたでしょ?感想は?」
黒衣の男「…」
サイズ「何か言ってよ~」
黒衣の男「…長居は無用だ」
サイズ「もうちょっといてもいいじゃ~ん。あいつをおびき寄せるチャンスなんていくらでもあるんだし~」
黒衣の男「…」
サイズ「ちぇー釣れないやつー。
…それにしてもあの遺跡にあった魔道兵器の本、どこに行っちゃったんだ…?あれさえあれば完璧なんだけどね…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます