スライムダンジョン!

一条真銀

序章~上~

青い空、白い雲。


・・・そして龍。


ほんと、どうしてこうなったのだろう。


僕は我龍 荒。

僕とか言ってるけど女子だ

ごく普通の女子高校生だった。


ほんと、此処はどこだ。

どうしてこうなったんだ・・・


始まりは朝、いつも道理寝坊してもう間に合わないからと二度寝をした。

それから遅めの朝ごはんを食べ、のんびり学校に行こうと自転車をこぎ出した。

違和感に気づいたのは家を出てすぐだった。

よく考えれば起きたときにもう気づくべきだったが、人っ子一人いないのだ。

それだけじゃない、人の声も、鳥の声さえも聞こえない。


明らかにおかしい。


僕は怖くなり、近所の公園に行った。

そこならいつも誰かいるから。



公園に来たが、やっぱり誰もいない。

おかしい。本当にどうしたのだろう。


公園のベンチに座る。

どうしよう、誰もいないなんて・・・。

学校、学校に行けばきっと誰かいる。

学校行ってみるか。


その時、ふと背後に人の気配を感じた。


「誰だ!」


そう言って後ろを振り返る。

そこには10才くらいの少女が宙に浮いていた。


「クスクス、怯えてるね」


「だ、誰だ。何で浮いてるんだ!!」


少女は少し考える素振りをして言った。

「よし、君にしよう」


「はぁ?何言って・・・」


その瞬間地面に大きな穴が開いた。

「う、うわぁー!」


落ちていきながら少女を見た。


すぐに意識が無くなった。


ー草原ー


「うぅ・・・」

ここは、どこだ、僕は一体どうなったんだ・・・。

「ぐあぁぁぁ」


上の方から咆哮が聞こえた。

な、何が・・・

上を見る。


そこには・・・青い空、白い雲、そして龍がいた。


そして冒頭に戻る。


「はぁ・・・これからどうしよう」

本当に此処はどこだ。どうすればいいんだ・・・。

「ようこそ、異世界へ」

さっきの少女が現れた。


「あ、あんたが僕をここまで運んだのか。此処はどこだ、あんたは誰だ!?」

そうだ、こうなった原因はきっとこの少女にある。


少女は呆れた顔をして言った。

「そんなに一気に質問されても答えられない。

私が説明するからそのあと質問があるなら言って」


はぁ、何か主導権握られてるみたいで嫌だがしょうがないか。

「わかった」


少女は近くにあった岩に座ると話始めた。

「私はガイア。この世界を作った創造神と言うやつだ」


か、神様・・・。頭おかしいのか?

「頭はおかしくないよ。あ、神様だから君の心の中も読めるんだよ」


なるほど、確かに神様なのかもと思った。

「じゃあこれからこの世界についてと何故君のことを呼んだのかを話す」


そうしてガイアは話始めた。


「この世界は魔法がある、そう、君たちがゲームとかアニメとか見る魔法だ。

そしてこの世界は魔法のもと"魔素"が満ち溢れていた。


あらゆる生物は体内に魔素を取り込む気管を持って生まれてくる。

人々は魔素・・・体内にあると魔力と言うのだが、魔力を使って文明を営んでいた。

ただ・・・文明が発達していくと共に人々は碌でもない事を考え出した」


碌でもない・・・、何気に酷いこと言うなぁ。


「酷くない。人間・・・特に人族はいつだってくだらないことしかやらない。

あいつらのせいでこっちは休む暇もないのに・・・」


初めてガイアは感情をあらわにした。

人族は余程酷いことやってんだな・・・。

人族・・・他にはどんな種族がいるんだろう。獣人とかかな。

けもみみ、あるといいな・・・。

「あぁ、獣人はいるよ。正確には獣族だけど。他にもエルフやドワーフもいるよ。

ま、その話はまたあとで。

それでさっきの話に戻るけど、人族は大気の魔素を取り込む機械を造ったんだ。

人族は最強になった。そして取り込んだ魔素で他族を従えたり人族の国同士で争いを始めた。 そんなことやってるうちに私じゃないけどある神の怒りに触れてその機械は封印されて文明も廃れていったけど。」


他族を従えって簡単に言ってるけど多分実際は虐殺されたり奴隷にされたりしたんだろうな・・・。


「その通り、人族たちがやったせいで彼らは数を減らした。しかし、長いときをかけて数はまた増えていった。現在は減らされる前ぐらいまで数は戻した」


はぁ、酷いことやったもんだな。

「問題はここからだ。ここからは君がここにつれてこられた理由でもあるから、真面目に聞いて」


僕はいつだって真面目に聞いている。失礼な!


「うん、余計な方に話を持っていくなと言う意味だ」

余計って全部確認すべき事だろう。


「まぁいい、じゃ話始めるから

機械は廃れたが、魔素は戻らなかった。まぁ当たり前の話だが、作る人はいないから。

神々は考えたんだ。このまま魔素が戻らなかったら困るがどうやったら魔素は手にはいるのかと。魔素はこの世界の防衛機能を担っているんだ。

そして神々は考え出した。異世界から魔素を持ってこようと。魔素はどの世界にもあるものだが、使っている世界は少ないから。そして地球や他の世界から魔素を持ってきた。

持ってくるにはその度に向こうの世界から人を持ってこなければいけなかったが」


だから僕はつれてこられたのか。

じゃあ僕の役割は・・・。


「早合点するな。この話には続きがあって、暫くはそれで何とかなったが、そのうち自然に魔素が霧散してしまうと言う問題に直面した。

神々は考えた。ある時一人の神が言ったんだ。魔素を作れなければ自立はできない。だからダンジョンを魔素を生成するところにしようと考えた。

数百年の月日をかけてすべてのダンジョンを魔素生成の場所にした。だが自然にできたダンジョンは少なかった」


なるほど、話が読めてきた。

つまり新しくダンジョンを作ることにしたわけだ。

「そう、そしてダンジョンにはダンジョンマスターと言うダンジョンを運営するラスボス的なものが必要だった。だから・・・」


「異世界から連れてきた」

なるほど、立派な誘拐だな。


「世界の存続のためならしょうがない。安心して、地球では君は存在してないことになっているから」


逃げ場なしだな。ま、元々ここに来た時点でもとの世界に戻ることは出来ないが。

「でも君は元々地球でここじゃないどこかに行きたいとずっと思ってたんじゃないか?」


そうかもしれない。何をやってもダメダメな僕はずっとどこかに行きたいと思っていた。

で、僕はダンジョンマスターをするわけだ。

じゃあダンジョンは、この草原?

こんななんにもないところをどうしろと。

「話はまだ終わってない。ここは正確に言うとまだ君がこれからいく世界ではない。

その中間の世界だ。この景色は向こうの世界を投影しただけだ。

君はまだ魂の状態だし」


これからどうするのか。


「これから君は自分の姿を自分で決めるんだ。選び放題だぞ!!」


ガイアはそういいニヤリと笑った。


とてつもなく嫌な予感がした

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