ある老婆の夢

霧乃文

第1話 現在

土畑市役所にて



「はぁー」


「水野さん、どうしたの?」


「あっ、木本さん、すみません。…実は、3丁目の火田月子(ひだ つきこ)さんの件について、隣人の金澤さんからクレームが続いてて…。」


「火田さん?あー、あのゴミ屋敷ねー!ゴミが増えたの?」


「いえ、物の量は変わってはないようなんですが、最近騒音がするみたいなんです。昨日火田さんにお会いしましたが、確かにドンドンって外まで響いていて。」


「ふーん、それで、何の音だったの?」


「それが分からなくて。カナヅチを持っていたので釘でも打っていたのかなぁと思いましたが、火田さん、もう87歳ですし…。昨日はあいさつしたところで興奮してて、片付けの手伝いも『これ以上私から奪うつもりかー!』って怒られちゃいました。」


「じゃあ少し落ち着いた頃を見計らって、火田さんのところに行こうか。」


「はい、お願いします!」

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