愛する主と愛する従者

ガルガード

運命の主君

故郷で再会を果たした親友を殺されて暴走し「落ちこぼれ」として地下牢に監禁された兵士………彼を知る者達が別の軍に引抜きをされる最中………彼は出会った………己が探し求めていた主君に………



琉翔(るいと)視点


兵士「ざまなぁないな 琉翔」


「バシャン」と言う音と冷たさで琉翔は水をかけられたのを知る………地下牢に身体を拘束された状態で監禁されている琉翔は特殊な道具で声も出せず、腕は勿論動ける部位と視界、声さえも拘束されている琉翔は聞こえてくる罵倒をほぼ聞き流す


???「おい 誰が無断で牢内に入っていいと言った?」


兵士「!風嵐中佐………」


琉翔 丁度蓮が来たか………


タイミング良く中佐でもある琉翔の仲間の蓮が来て兵士はバツが悪そうに退散


蓮「大丈夫か?」


琉翔「(水をかけられた位だ)」


蓮「通りで髪が濡れてると思ったよ」


琉翔と蓮は幼い頃から故郷は違えど共にいたのでテレパシーで言葉をかわせる


琉翔「(仕事か?)」


蓮「いや お前の件があってから部隊に仕事が回ってこなくなってな………それのおかげか仲間達が敵軍にどんどん引き抜きをされてる………残ってるのは30人程度で今日中には全員捌けるだろうな」


琉翔「(すまない………)」


蓮「謝んなよ あの時は俺だって同じことをしてた………竜也を殺されたんだ………お前が暴走するのも無理はない」


琉翔と蓮は軍に幼い頃から故郷は違えど共にいた親友を殺され琉翔が暴走した………それが蓮のストッパーになったのだが2人は親友を失った


琉翔「(蓮はそう言う引き抜き受けないのか?来てるだろ?)」


蓮「相変わらず鋭いな 確かに来てはいるけど断るよ」


琉翔「(お前ほどの実力ならこの軍よりも良い所や軍はいっぱいあるぞ?)」


琉翔は自分がこうして監禁されている故に蓮に誹謗中傷をする者がいるのを知っていた………だから引き離す訳では無いがそういうことを言う


蓮「俺に気を使ってるのか?琉翔」


琉翔「…………」


蓮「あの日 お前が俺を助けてくれなかったら俺はもうこの世にいなかった………お前には感謝してもしきれないくらい感謝してるし、お前がいたから俺は中佐になれたんだぞ?その事を忘れたのか?第一俺はお前について行くって約束しただろ?お前は従者の中では最高峰の力を持ってる俺が保証するぞ?自信をもてよ」


琉翔「(「落ちこぼれ」と言われた時点で無理だ)」


琉翔は案外軍人である期間が長いため、「落ちこぼれ」と言われたのがよほどショックだったらしい


蓮「安心しろ それを言ったヤツら全員追放したから」


琉翔「(お前容赦ないな)」


蓮「下っ端がいきがってたからな」


琉翔「(こっわ)」


そう言いながら琉翔は漸く口角を上げて笑った


蓮「やっと笑ったな………お前は強すぎるから故郷でも1人きりだった………軍でもお前は1人で過ごしてきた………本来の力を発揮していないのにだ………俺は絶対にお前を孤独にしない だからそんなに泣かないでくれ」


琉翔は静かに泣いていた………ずっと孤独で生きてきた琉翔にとって殺された親友は光だったのだ………その光を意味もなく消され今再び光がともしび出している


蓮「一緒にいるよ 琉翔…」


蓮はそう言って琉翔の頬に触れようとするが特殊な結界の効果で触ることは出来ない


蓮「絶対にお前を助ける だから待っててくれ」


蓮は結界の効果で触ろうとすれば強い電流が流れ、それでも触れればかなり酷い火傷になるのにもかかわらず、両手で琉翔の頬に触れ手に火傷を負う


琉翔「(蓮やめてくれ………!これ以上俺の頬に触れていたら蓮の手が………!!)」


琉翔は人間の皮膚が焼ける臭いがしてきて蓮を静止しようと体を動かす………すると琉翔の全身に強力な電流が流れ蓮も手を離す


蓮「琉翔………!!」


琉翔の全身に流れた電流は主に首の装置に流れるため琉翔は首を火傷


蓮「ごめん 本当にごめん」


琉翔と蓮は能力者であるため傷は瞬時に治るが琉翔は火傷痕がくっきり残ってしまい………蓮はどうしていいのかわからず混乱し謝り倒す


琉翔「(生きてるんだから時期に薄くなる そんな謝るな)」


蓮「でも………」


琉翔「(気にするなよ 俺を助けて一緒にいてくれるんだろ?だったら弱々しくなるな)」


琉翔の言葉は蓮を奮い立たせ混乱していた蓮の頭の中を冷静にさせた


蓮「絶対に助ける 待っててくれ」


琉翔「(分かった)」


蓮は琉翔と約束をしてその場をあとにする………


〜蓮〜


隊員「蓮中佐 その手………」


蓮は琉翔の元を離れたあと部隊部屋に行きいい感じの手袋がないかを買い物リストで探す


蓮「琉翔に触れようとして火傷した それで琉翔も動いて首の火傷痕が残った」


蓮はそう説明しながらいい感じの手袋を見つけすぐに届くよう手配しパソコンを開く


蓮「(ここならきっと琉翔を助けてくれる………)」


前に上官達の目を盗んでハッキングした軍の情報を蓮はある所に送る………


蓮「(敵軍「ファイタリー」………噂が正しければ………きっと………)」


噂話が本当であることを願って蓮はパソコンを閉じた………


〜琉翔〜


琉翔 ………どれほどの時間が経った………今は何月だ………


琉翔は監禁されてから最初の頃は日付を数えられたが途中からわからなくなり、今では自分が監禁されて何年が経ち今が何月なのかが分からない


「コツ……コツ……コツ……」


琉翔 人の足音?靴からして軍の者ではないが………誰だ?


不意に聞こえた自軍ではない者の足音………それに琉翔は警戒するが何分本気で警戒することができない


???「…………成程」


琉翔「っ」


小さく言ったであろう声でも牢の中では大きく聞こえ琉翔の鼓動がはねた


???「特殊な結界の効果が出てる」


???「何とかならないのか?」


???「………外れたね」


恐らく誰かが琉翔の高速と結界を解除させたのだろう………首の拘束具が外れ体に巻かれていた拘束具が音を立てて外れていく


???「声出せるか?」


琉翔「…………(首を横に振る)」


???「情報通りだな」


琉翔 情報?なんの………


???「とりあえずずらかるぞ」


琉翔を助けた2人は琉翔の身体の筋肉が硬直してしまっているのを知っているらしく、片方が琉翔を抱きかかえもう1人が道を案内する


???「敵がはけてる………」


上に上がってみると軍兵が倒れており既に事切れていて誰かが片付けた後に来たらしい


???「誰かが片付けてくれたみたいだな」


そう言って2人と琉翔は軍の裏口まで来たが………


???「ロックされてる………」


???「普通そうだろ」


ロックをされていなかった裏口がロックされており存在がバレたのは明白


???×2「?!」


不意にナイフが投げられそのナイフの先端に暗証番号と車とバイクのキーが………


???「片付けてくれた人のようだな………行こう 俺はバイク使うからお前は車使え」


???「有り難く使わせてもらう」


暗証番号を使って片方がバイクに乗りもう片方が琉翔と車に乗る


琉翔 この車蓮の………


しかし琉翔は車の持ち主を特定しており発信した車の窓から外を見る………すると別のバイクで先に脱出していた蓮が、別の場所で琉翔に「また会える だから先にいけ」とテレパシー


琉翔 助けてくれたんだな………蓮………


友の蓮とはいつ再会出来るのかはわからないが………蓮は交わした約束は破らない


???「俺の名前は山嵐 大和」


ふと微妙なタイミングで自己紹介をされた琉翔


大和「声が出るようになったら名前を聞く」


そう言って大和は運転に集中し出す………





後に琉翔はそれが自分の運命の主君との出会いだと知る………

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