OP01「平凡な最後の日常」

──Side by 総満


金曜日、授業も終わり、夕焼けが教室に入り込んでくる。

担任が気怠げに解散を宣言すると、生徒たちはそぞろに帰り始めた。

その中の一人、天代総満あましろそうまもまた帰り支度を始めていた。


総満「今週も終了っと…」


そんな彼に声をかける人物が一人、彼の友人である立守旭たつもりあきらだ。


旭「よっす天代ぉ。お前明日ヒマ?」

総満「ん?暇だけど……明日なんかあんの?」

旭「じゃじゃーん!見てくれよコレ!」


彼はそう言って、2つの紙切れを見せる。

何かのチケットのようだ。


旭「前にイザナミーでアンケートに答えたじゃん?そん時の景品が当たってたってワケ!」

総満「…アー!そゆこと?」


ちなみにイザナミーとはこの島にある唯一の複合商業施設の名前だ。映画館や劇場まである充実っぷりで、近隣住民の憩いの場でもある。


旭「どうよ?一緒に行かね?」

総満「無論、オーケーだぜ。」

旭「よっしゃ決まり!ところで天代は好きなアイドルとかいるん? 」

総満「いや、これと言って無いけど?」

旭「ウッソだろオイ…じゃあクラスメイトとかは?」

総満「いませんが…何か?」


総満は目を逸らす。彼は女性に対してあまり免疫の無い人物だった。


旭「…アニメのキャラとか」

総満「さー!明日早いだろ!?もう帰ろうぜ!!」

旭「お、おう」


総満はこれ以上の追撃を避けるため、学校指定の鞄を肩にかけて、教室を出た。

慌てて旭も後ろから着いてくる。

学生は大変だ。課題は多いし、部活はダルい。人付き合い(主に女子相手)も面倒。

それでも、週に二日ある休みを嬉々として、総満は家路を歩くのだった。

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