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実験室で、メイドグリーンの破片を手の中で転がしながら、桜は窓の外を見ていた。眼鏡はかけていないので、景色はまったく見えていないが。


ドアを開けて誰かが入ってきた。

それが誰かわかる気がして、桜は聞いた。


「人間が人間であるために必要なものってなんだろうね」

「さあ」


「体が金属でも脳が電算回路でも人間より人間らしいことってあるんだね」

「そうだな」


「人間ってなんだろう」

「さあな」


「せんせ、なんにも答えないね。いや、いい。答は自分で探す」

桜は眼を手でこすると、眼鏡をかけて立ちあがった。

「僕も燕を見習わないとね。泣くのはやめる」


「そうか」

博斗は眉をあげて表情を崩した。

「じゃあ、みんなと昼メシ食いに行くか。下でみんな待ってるからさ」


「うん、わかった!」

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