14
デンジムーが笑った。
「ロボット三原則なんて腐ったものはなくなったほうがいい!」
「駄目ダ。桜サン。コノうぃるすハ強イ。三原則ガ消サレテイキマス」
「消される? そんな・・」
「桜サン、離レテ。第一条消エマシタ。ボク、手遅レニナラナイウチニ、自爆シマス」
メイドグリーンが言った。
「え? む、無理だよ。そんなこと」
桜は声を震わせた。
「大丈夫デス。第二条と第三条ハマダアリマス。桜サンガ命令スレバ、ボク、二十七番目ノ武器使イマス。怖クナイデス。僕ニ命ヲクレタノハ桜サンデスカラ。桜サンと友達ヲ傷ツケルワケニハイキマセン」
そして、桜から離れて、デンジムーの正面に立った。
「そうじゃないんだ!」
桜は声を張り上げた。
「違うよそうじゃないんだそうじゃないんだよ! 君には、二十七番目の体内爆弾なんか存在しないんだよ、君には体内爆弾なんてないんだよ! 僕の友達に、そんなのつけられるわけないじゃないかっ!」
メイドグリーンの口が、笑った、ように見えた。
笑うはずないじゃない。
そんな部品つけてないのに。
でも笑ったように見えた。
「知ッテルヨ」
「え?」
メイドグリーンの胸部がパカっと観音開きに開いて、そこに蜂の巣状に埋めこまれたミサイル装置が現れた。
「デモ、コレカラ創ルンデス」
メイドグリーンの両腕の砲身が、自分の胸に向けられた。
「イヤだそんなのダメだよやめてよーーーーーっ!」
桜は叫んだ。
「バイバイ、桜サン」
メイドグリーンの腕が火を噴いた。
メイドグリーンの火器が一斉に誘爆を起こす。
「桜っ!」
レッドが桜を抱いてしゃがみこんだ。
デンジムーは爆風に巻きこまれた。
表面の金属板はあちこち剥がれ、内部の構造が露呈した。
レッドは桜をしゃんと立たせて、自分の背中を探った。
飛んできたメイドグリーンの破片が強化服に刺さっていたので引き抜いて、桜の右手に握らせた。
桜は、きっと顔を上げた。
右手をしっかり握りしめた。尖ったところが刺さって血が出たような気がした。
「あいつにとどめを刺すっ!」
変身の光に身を包んでいく桜に、デンジムーは脅え、足の裏からロケットを噴射し、逃げ出した。
「逃がさない!」
しかしデンジムーは、少しずつだがスクールファイブとの距離を離した。
もう少しこのままの勢いで進んでいれば、逃げきることが出来たかもしれなかった。
デンジムーの進路の正面に、土くれをところどころに乗せたまま、赤い物体が通せんぼをするように浮いていた。
埋まっていた地面から這い出たレッドアローは、どこに行くわけでもなく、ここでじっとデンジムーの来るのを待っていた。
デンジムーは正面からレッドアローに衝突し、弾き返されて地面に転がった。
その真上に、グリーンが、スティックを振り上げて、大きく跳んだ。
「アタァァァァァァーーーーーックっ!」
デンジムーは悲鳴を上げ、そして、一瞬ののち、轟然と爆発した。
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