第四十話「生徒会霧中へ」 蒸気怪人ヤカンムー登場

第四十話「生徒会霧中へ」 1

教壇に立った博斗は、白々しいと自分では思っていたが、生徒達―特に遥―に気取られないため、今日も同じことを確認した。


「稲穂君は、今日も欠席か。…風邪が長いみたいだな」


遥がちらりと空席を見て目を伏せるのを博斗は見た。

嘘をついてすまない。


シータが博斗達の元に来てくれるだろうということは確信している。

だが、いつになる?


そしてはたして、シータは、仮面を取ってくれるだろうか。


「なにかな、あれ?」


生徒の一人の声で、博斗は思考から引き戻された。


窓際の生徒達がまとまって窓から外を眺めた。


「火事…か?」

白い煙のようなものが立ち昇っていた。


「ほら、席に戻れや」

博斗は窓にかじりついていた生徒達の頭を、出席簿でぽんぽんと撫でて、席に戻した。

「さ、授業にしよう」

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