17

博斗は再び北極1号のスイッチを入れた。


「なにっ?」

クロスムーは、きーんという耳慣れない音に、体を揺すって振り向いた。


その全身にダイヤモンドダストが襲いかかった。

氷の嵐に包まれ、クロスムーはあたふたとよろめいた。


博斗は、茂みから飛び出し、五人に姿を現して、そして大きく声をかけた。

「いまだっ!」


それ以上は必要なかった。

遥達はそれぞれの左腕を俊敏に突き出した。

その肩にはめられた腕章の校章部分には、小さな宝石がきらめいている。

「チェンジ、スクールファイブッ!」


腕章が姿を変え、身を包む炎となって体を覆っていった。

マスクの額の部分に輝く宝石が現われ、きらびやかに光を放った。


五人が変身を遂げた。

ちょうど昇りつつあった朝日が、五人を背後から染め上げ、いちだんと輝かせた。

「スクールファイブ!」


スクールファイブは身構える間もなく、変身が終わると同時にクロスムーに攻撃を開始した。


たまらずクロスムーは灯籠に飛び乗った。


「くそうっ! 接ぎ木ミサイル!」

クロスムーは吠えると、接ぎ木してあった左腕を突き出し、ロケットのようにそれを打ち出した。


腕は地面に当たると同時に爆発し、石畳とともにブルー、グリーン、ブラックは跳ね飛ばされた。


だがイエローとレッドが、クロスムーの残った右腕を前後から叩きのめした。


小さな爆発が起こり、クロスムーの右腕は折れて地面にぼとりと落ちた。

「あああ、僕の腕が、両腕が! あああ!」


「いける。これだけ弱っていれば、スクールフラッグでもきっと勝てる」

グリーンが言った。


「そうね? な、なにっ?」

レッドは言ったそばから体の異変に気付いた。

コスチュームから赤い煙が立ち昇っている。

額のあたりからは締めつけるような痛みがやってきた。


「しまった!」

グリーンが叫んだ。

「時間オーバーだ! これ以上戦うと、僕らは自爆することになる! 変身を解くんだ!」


がっくりと膝を突き、五人は変身から解放された。腕章はまだ物足りないようにしゅうしゅうと煙を上げている。

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