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「出来た」
桜は眼精疲労でしょぼしょぼの目をこすりながら、隣室の床で毛布に包まって雑魚寝している四人を起こした。
四人は、翠でさえ不平一つ言わずにすぐ起き上がると、桜に続いた。
テーブルに、花びらのように円を描いて腕章が並べられていた。
「これなら、結界があろうがなんだろうが、絶対にクロスムーを上回る力を出すことが出来る。ただ、いい? これは、とにかく間に合わせなんだ。僕たちの心の動きをコアを介して増幅させた上でコスチュームに流し込む回路を取りつけただけ。さっきの戦いで壊れたところの修理もしていない。増幅された力が溢れたときのことも考慮していない。燕、わかる?」
「…とってもあぶないってことでしょ?」
「そういうこと。長時間の戦いは出来ない。せいぜい三分でクロスムーを倒し、博斗せんせを救出する。変身も改良できていない。またさっきみたいにクロスムーに変身を破られたら、戦う前に全部おしまい」
「変身なんか、そのときになってから考えればよいのですわ」
「勝てると思う?」
桜は答えを確信していたが、あえて挑戦的に四人に聞いた。
「勝てるかどうか、じゃないわ。勝たなきゃならないのよ!」
五つの腕章を、それぞれが手にとった。
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