3
人がざわざわと動く気配に気付き、遥は、かすかに声を上げて、目を細く開いた。
アンドロメダに飛び乗ったことまでは覚えている。その後の記憶が判然としない。
横に寝返りを打つようにして体を少し起こした。
ここは司令室の隣にある別室のようだ。
並んだベッドに、遥と同じように他の四人も眠っている。
そうか。
あたし達、負けたんだ。これ以上ないぐらいに。変身も破られて、これからどう戦えばいいの?
遥はよっこらしょと足をベッドから下ろした。
左の肘のあたりが張ったようになっている。
足に出来たすり傷は消毒され、包帯が巻かれている。
たぶんひかり先生がやってくれたんだろう。
博斗先生は?
謝らないと。
そして、これからどうやって戦えばいいのか、教えてほしい。
「おはよう、遥」
桜が、首だけ横に向けて笑っていた。
眼鏡をしていない。壊れてどこかに行ってしまったのだろう。
「具合はどう?」
「体は、ちょっと痛いけど、大丈夫みたい」
遥は証明するように床に立った。
平衡感覚が薄れていて少しふらついたが、ぎゅっとシーツを握ってしばらくこらえると、すぐにまっすぐ立てるようになった。
「いやあ、参ったね。完全にやられた」
桜は悪びれた様子もなく言った。
「変身できないんじゃ意味がない。どうしたものかね」
遥は腕を組んだ。
確かに。
力が上がれば怪人を倒すことは出来るようになるかもしれない。でも、それは変身できればの話。
「とっくん」
がばっと起きた燕が言った。
「とっくん。変身も、必殺技も、とっくんしてなんとかしよう」
「特訓すれば確かになんとかなるかもしれません。でも、わたし達には時間がありません。こうしている間にも三つ目、四つ目の十字架が埋められているのかもしれません」
由布が淡々と言った。
いつの間にか、みんな起きて、遥を見ていた。
「どうしますの遥さん。あなたの考えは?」
「もう少し、考えさせて」
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