4
「なにしてんの?」
翠に肩を貸している遥の前に、きょとんとした顔の燕が現れた。
「ちょうどよかった、ねえ、肩代わってよ」
「うん、いいよ」
燕が快諾したので、翠は遥から燕に支えを乗り換えた。
「いやー、翠って重いから肩こるわ」
「まあ、わたくし、遥さんとは違って体の前に肉がたくさんついていますから、ほほほ」
「お腹に?」
「ち・が・い・ま・す・わ!」
三人は、階段を降りた。
遥は、燕にも聞いてみることにした。
「ねえ、燕?」
「なあに?」
「今日、なにか感じる?」
「なにかって?」
「稲穂は何つったっけ…空気の流れがなんとかかんとか」
燕は首を傾げた。
「なんにもないよ。あ、でもね…けさはいっつもより寒かったよ。手が冷たかったの」
「そりゃたいへんだったわねえ。あーあ、燕に聞くんじゃなかった」
「でも、確かに今日は寒いですわ」
「まあ、そうね。そんなに風があるわけでもないのに、なんとなく底冷えがする感じ。…こう寒いと気分も滅入ってきちゃうわよね」
三人は、身を寄せるようにして階段を降りていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます