第三十二話「博斗の贈り物」冷凍怪人スノームー登場

第三十二話「博斗の贈り物」 1

海の静寂の下で、男達が邪悪の企みを推し進めるべく暗躍していた。


「ことは進んでいるのか?」

「万事、問題ありません。コアがほしがるエネルギーを収集するための怪人も次々と計画しています。いまも、その一人目を用意したところでして…」


「どんな奴だ、ホルス?」

「いま、呼びますよ。さあ、出てきなさい、スノームー! お前の勇姿を総帥にお見せするのです!」


ホルスの背後から怪人が進み出た。全身白色の雪に包まれた団子のような姿をしている。

「スノームー!」


「さあ、スノームー。お前の使命はわかっていますね。人間の子ども達の夢と希望を奪いなさい。そして、その心を恐怖と悲しみで満たしなさい。それこそ、神官のエネルギーにもっとも変換しやすい感情なのですから」


「っくしょい! こいつは寒い野郎だな」

ピラコチャは悪態をついた。

「さっさと行っちまえ!」


スノームーは手足を縮めて、ごろんと大きな雪玉になると、弾むようにして広間を飛び出し、その姿を消した。


「見ていなさい。スクールファイブ。お楽しみは、これからですよ」

ホルスは低く言い、からからと笑いはじめた。


やがてマヌとピラコチャが笑い出し、三人は声を合わせて笑った。

飽きることもなく笑い続けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る