2
博斗とひかりが、再び石の橋にさしかかると、腹の底に響くような重い震動がし、耳障りな音が心を乱した。
博斗は苦痛に顔を歪め、ひかりは一瞬立ち止まった。
「まさか…一人、倒した?」
ひかりがつぶやいた。信じられないという口ぶりだ。
「倒したって? じゃあ、あと三人ってことですか?」
「ええ、しかし…」
博斗はひかりに尋ねた。
「なにか、気になることがあるんですか?」
「すでに神官が動き始めているとは、私が思っていたよりもずっと早いのです。ホルスが、明らかに計画を早めたとしか思えません」
「でも、いいじゃないですか。一人倒れたんだったら」
「しかし、なぜホルスが急いでいるのかがわかりません。こんなに早くては、神官は満足に戦えない状態で復活しているのではないでしょうか?」
「じゃあ、なおさら急いで行きましょうよ。チャンスってことじゃないか」
博斗はひかりをせかした。
「ですが…」
ひかりは煮えきらない。
「ひかりさん。うじうじ考えてるだけで行動しないのはいちばんまずいですよ。とにかく、神官を倒すことをいまは考えましょう」
博斗は、ひかりをうながした。
「わかりました。ホルスが行動を急いでいる以上、私たちも行動を急ぐ必要があります。あまり使いたくはありませんでしたが、裏通路を使うことにしましょう」
「裏?」
「ええ。神殿の裏手に隠し通路があります。いまスクールファイブが進んでいる方向と反対側から神殿に入ることが出来る近道です。神官の居場所まで比較的早く進むことが出来るでしょう。ただし…」
「ただし?」
「…なにを見ても、驚かないでください」
「そんなやばいことでもあるんですか?」
「いいえ」
ひかりは、微妙な笑みを浮かべた。
「危険はなにもありませんよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます