「どういうことさっ?」

桜の頭を押さえつけるようにして遥と翠が身を乗り出した。

「なにこれ? あたし達…ほんとに環状線走ってるの?」


「そんな馬鹿なことはありえませんですわ!」

翠が言った。

「ゲームの電車が、そのまま本当に線路の上を走ってるなんてこと…」


「みて!」

燕が叫んだ。

「スピードが上がってるよ!」


五人はかじりつくように計器盤にのしかかった。時速は九十キロを越え、間もなく百キロに達しようとしている。環状線としては異例の速度だ。


「これは変よ。…逃げるわよ」

「どうやって?」

「もうすぐしぶたにに着くわ。そのとき、ホームに飛び降りる」


「待ってください」

由布が割って入った。

「これはおかしいですよ。きっと、彼らの罠です。わたし達は、まんまと誘い込まれてしまったのではないでしょうか。もっと早くに気づくべきでした」


「うーん。まあ、そうだとしたらなおさら、早く変身して突破したほうがいい気がするけどな」

「いえ…変身して、また力を盗まれるのではないかと…」


列車は速度を増しながら走り続けている。だんだん揺れが激しくなってきた。

「そうだとしても、他にどうしようもないじゃない。このまま乗ってたら、いつ事故が起きてもおかしくないわ。この電車おかしいもの。ゲームなのに、ゲームじゃないのよ」


由布は、まだなにか言いたそうにしていたが、あきらめたようにうなずいた。


「いくわよ!」

遥は左腕を前に突き出した。

「おーっ!」

五人は光に包まれ、スクールファイブへと姿を変えた。

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