9
「どういうことさっ?」
桜の頭を押さえつけるようにして遥と翠が身を乗り出した。
「なにこれ? あたし達…ほんとに環状線走ってるの?」
「そんな馬鹿なことはありえませんですわ!」
翠が言った。
「ゲームの電車が、そのまま本当に線路の上を走ってるなんてこと…」
「みて!」
燕が叫んだ。
「スピードが上がってるよ!」
五人はかじりつくように計器盤にのしかかった。時速は九十キロを越え、間もなく百キロに達しようとしている。環状線としては異例の速度だ。
「これは変よ。…逃げるわよ」
「どうやって?」
「もうすぐしぶたにに着くわ。そのとき、ホームに飛び降りる」
「待ってください」
由布が割って入った。
「これはおかしいですよ。きっと、彼らの罠です。わたし達は、まんまと誘い込まれてしまったのではないでしょうか。もっと早くに気づくべきでした」
「うーん。まあ、そうだとしたらなおさら、早く変身して突破したほうがいい気がするけどな」
「いえ…変身して、また力を盗まれるのではないかと…」
列車は速度を増しながら走り続けている。だんだん揺れが激しくなってきた。
「そうだとしても、他にどうしようもないじゃない。このまま乗ってたら、いつ事故が起きてもおかしくないわ。この電車おかしいもの。ゲームなのに、ゲームじゃないのよ」
由布は、まだなにか言いたそうにしていたが、あきらめたようにうなずいた。
「いくわよ!」
遥は左腕を前に突き出した。
「おーっ!」
五人は光に包まれ、スクールファイブへと姿を変えた。
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