14
モニターを見ながら、思わず立ち上がっていた博斗も、ほっと椅子に腰を下ろしていた。
「ふう…一時はどうなることかと思ったよ」
「ふふ。いま、コーヒーを入れますね」
コーヒーカップを持って戻ってきたひかりは、言葉を続けた。
「…これから、彼女たちの様子に気を配ってください」
「?」
「奪われたエネルギーは戻ってきません。彼女たちの日常生活に、感情の変化が訪れるといったたぐいのことはありませんが、変身した後の彼女たちの戦闘力は、若干低下しているはずです。以前と同じ感覚で戦わないようにと、釘をさしてください」
「ああ、わかりました」
博斗はうなずいた。
「あ、それと…この戦いが終わったら伝えるようにと、理事長さんから伝言で…」
「?」
「生徒会で、ミナトストアの大掃除を、と」
ミナトストアは、生ゴミとダンボールと空缶とガラス片の無法地帯となっていたのだ。
かくしてクレープはおあずけ。
生徒会五人は、ミナトストアの前をせっせと掃除することになった。
「ねー、はくと、クレープぅ」
燕が頬を膨らましている。
「お、俺に文句言うなよ。理事長が、市民へのお詫びだって言うからさ…」
「はいはい。社会奉仕は大事だもんねえ」
桜はにやにやしている。
「なんでわたくしがこんなことを…もう!」
翠は、箒でせっせと掃きながら、並んで掃いている遥に愚痴をこぼした。
「あー、あたしも、腕が疲れた。もう、いや~、怪人と戦ってるほうがマシ!」
「ほら、そこ、文句を言うんじゃない! 手が止まってるぞ」
秋空に、博斗の笑い声が響いた。
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