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「さあ、ヒョウシキムー、お前の本当の姿を見せてやれ! そして、怨みをぶつけろ!」
ゲンガイオーの背中に、無数の棒が突き出した。見れば、どれも道路標識だ。
ゲンガイオーは背中から一本の標識を抜くと、博斗達めがけて投げつけた。
「横風注意です!」
ひかりが叫んだ。
支柱の先端が地面に突き刺さると、その途端に博斗とひかりを、猛烈な風が襲った。
「さあ! おまえ達の文明の過ちを認めろ! そして、降伏しろ!」
新たな標識が、さらに博斗達のそばに突き刺さった。
「今度は…警笛区間!」
博斗の耳を、けたたましいクラクションの音が襲った。
猛烈な音に頭ががんがんと痛み、博斗は耳を抑えたくなったが、耳を抑えるために電柱から手を放せば、博斗もひかりも宙に飛ばされてしまう。
ひかりが、博斗の腰から左手を放すと、顔をしかめながら左手をゲンガイオーに突き出した。
「キャップ…私は、こんなこともできるんです。…でも、どうか、嫌いにならないでください…」
なじみのあるうねりがやってきた。
突き出したひかりの手から何かが放たれ、ゲンガイオーに直撃した。
ゲンガイオーはぐらりとふらつき、その瞬間、嘘のように風と音が止んだ。
ゲンガイオーは次なる一手を放った。
「落石注意!」
ひかりが悲痛な叫び声をあげ、再び手を突き出した。
「ひかりさん…逃げよう…俺には、この子とは戦うことはできないよ…。この子は、悪くないんだから…。うはっ!」
大きな岩が博斗の背中を打ち、博斗は背骨が折れたかと思えるひどい痛みに、膝をついて息を切らせた。
「キャップ…」
ひかりは博斗の頬に手を触れると、うなずいた。
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