7
博斗は、壁をどんと叩いた。
「いまの俺達がするべきことは、一刻も早く学園を正常な時空間に戻すことだ。そのためには、怪人タイムーを倒さなければならない」
「でも、ばくだんは?」
「たぶん、連中はほんとうに学園中に爆弾をしかけているはずだ。したがって、タイムーを倒す前に、十三個の爆弾をすべて見つけ出し、処分する必要がある」
「どうやって?」
「とにかく片っ端から爆弾を探し出すしかない。手分けして、校内の時計を調べるんだ。俺とひかりさんが、いまから司令室のビデオをチェックするから、それで、タイムーと戦闘員が触った時計を一つずつ調べていけばいい」
「でも、爆弾を見つけたとして、どうすればいいのですか?」
「それは、これから考える。ひとまず発見することが先決だ」
ひかりはすでに席につき、端末の処理を開始した。モニターが分割表示され、学園の随所に設置された監視カメラの映像をスキャンし始めた。
一つのモニター画面が静止した。教員室前の廊下だ。青い戦闘員が、壁にかかった時計の下側に何かをとりつけている。
「さっそく一個目だ」
博斗は端末を操作して画面を拡大した。
「桜君、これだけでどんな構造の爆弾かわかるか?」
「…結線は時計にしかされていないみたいだから、時計ごと外せば大丈夫だと思うよ。強いショックを与えなければ爆発しないはずだ」
「オッケー! そうとわかればさっそく!」
遥が司令室を飛び出した。
「桜君、あの爆弾を解体する装置を作れるかい?」
「よ・ゆ・う。へそで茶ー沸かすより簡単だね」
遥と翠は校内を駆け回り、廊下と教室の爆弾を集めた。授業中に爆弾をしかけたためか、一般教室のなかにはひとつも爆弾がなく、教室では、音楽室に一個、調理室に一個あっただけだった。
桜は実験室にこもり、黙々と解体装置の開発に励んだ。
「…解体なんてヤボなことは言いっこなしだね。どうせなら…へへへ」
由布は、時を刻まない時計塔をみながら考えこんでいる。
何か、気になる。胸騒ぎがする。タイムーは、何かを隠している気がする。
燕は校庭を走り回った。
難航したのはグラウンドの時計で、三メートル近いポールのてっぺんに時計がとりつけられており、おまけにポールと一体構造になっているため、時計だけ外すというわけにはいかない。
しかしこれは、燕がポールを途中からぼきりとへし折ることで解決してしまった。
「はあ。智恵たん、うごかないかな?」
燕は、抱えていた時計をそっと地面に置くと、智恵たんC-ショックを腕から外して調べてみることにした。
ところが、C-ショックは、ぴたりと腕にはまったまま外れない。
バンドもがっちりと組み合わさったままで、どんなに燕が力を込めて鼻息を荒くしても、びくともしない。
「?」
首を傾げた燕は、腕を上げて、C-ショックをじっと見た。
コチコチと時を刻む音がする。
さすがの燕も、なにがおかしいのか気がついた。
C-ショックはデジタル時計だ。なぜコチコチと音がするのだろう。
再び歩き始めた燕の表情は青ざめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます