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力の反応を察知したシータが、辺りを見回し、白い火花とともに突進する博斗の姿に気付いた。

「いかん! ミラームー!」


シータは叫んだが、そのときには、博斗はすでにミラームーまで十メートルもないところまで来ていた。


シータの声を聞きつけたミラームーが、ゆっくりと振り向いた。

そして、スパークに身を焦がしながら突っ込んでくる必死の形相の博斗を見て、慌てて、抱えていたブルーを地面に落とした。


博斗の右手は、吹き出した白いエネルギーに包まれ、燃え出さんばかりに熱くなっていた。

博斗のコントロールなどもはやまったく効かず、膨張したエネルギーの塊が、棍棒のように博斗の右腕から飛び出していた。


「もう、どうにでもなれっ!」

ミラームーが、次の行動を起こすより早く、博斗は、左手を右手に添え、鋼鉄をも突き破らんとばかりに、白い塊をミラームーの胴体に突き出した。


驚いたことに、予想していたような手応えはなかった。

代わりに、スパークを枝のように放つ白い塊は、ミラームーの体をあっけなく貫通し、風穴を開けた。

周囲に吹き出すスパークが、ミラームーの全身を覆う。

白い塊が破裂した。


博斗は、きらきらと細かな音を立てて、ミラームーが中心から粉々に砕け散る映像を見た。

だが、爆発のショックで吹き飛ばされ、あとはどこがどういう景色か理解できない状態となった。


ただ、自分が空中を飛んでいるということだけは理解できた。

このまま地面に落ちれば、ただではすまないだろう。よくて骨折。悪ければ…脳みそグシャッ。


ぼんやりと意識が薄れていく。

でも、いいじゃないか。彼女達を助けることは出来たんだから。これはこれで…。


意識を失い、放物線を描いて宙を飛ぶ博斗の体は、素早く飛び出した人影に、しっかりと空中で受けとめられ、そのまま抱きかかえられた。

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