第十六話「呼吸は至急」 塩素怪人プールムー登場

第十六話「呼吸は至急」 1

かんかんと照りつける陽射しに、博斗はげんなりとして声も出ず、ただふらふらと歩いていた。


プールに行けば涼しいのはよくわかるが、問題は、その、プールに行くまでのこの数十分間なわけだ。


博斗達が夏合宿から戻ってきた頃から、市営プールに「出る」という噂が飛び交っていた。

市営プールには大人用と子ども用の二つのプールがあるのだが、「出る」のは、大人用のプールだけだという。


サークル仲間の女子大生の一人が、突然水中から足を引っ張られ、危うく溺死寸前のところまで水を飲みこんでしまった。それが発端。


一人、また一人と、足を引っ張られる被害者が続出し、市の調査が入った。

だが、排水口にもプールの底にも、何ら変わったことはなく、結局、注意書きを増やし、監視員を一人増やしただけで、いままで通りの営業となった。


いっぽう、博斗は理事長から事件のことを聞かされ、ムーの連中の仕業に違いないと推測し、市営プールに生徒会の集合をかけた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る