ぴんぽんぱんぽん。


グラウンドの照明に取り付けられているスピーカーから、桜の声で放送が流れた。

「たいへんながらくお待たせいたしました。ただいまから、特別アトラクションを開催いたします」


「なんだ、いまの放送は?」

シータは本部のテントを見た。だが、そこには数人の戦闘員を除いて誰も存在しない。

「誰が放送している? …まさか?」

シータは不覚にも頬が緩むのを感じた。


「ギャッ」

観客席の一角で、戦闘員の一人が倒れた。

倒れた戦闘員と同じように青い小さな影がそこから飛び出した。そして弾丸のように次なる戦闘員の元へ突っ込んでいく。


観客席に注意を向けていたピラコチャが、いち早くその異変に気付いた。

「やれやれ、逆らう奴がいるらしいな。ブルマムー、お前…」


だがピラコチャはそこで息を呑み、身をのけぞらせた。そのむき出しの胸部に、すっと一筋の赤い糸が走る。

「ス、スクール…」

ピラコチャはそれ以上言葉を続けていられなかった。


眼前に降り立ったスクールブラックが、矢継ぎ早に鋭い剣を繰り出し、ピラコチャはその剣をさばくことで精一杯となった。


ブラックは、とにかく素早さにすべてを賭け、重い斧を振り回して攻撃を防ごうとするピラコチャの体に、一つ、また一つと細い切り傷を負わせていった。

勝つ必要はない。ブルーが観客席を一巡して、戦闘員を一掃するまでの数分間だけピラコチャを抑え込めばいい。

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