シータも、観客席とピラコチャの異変に気付いた。

肝心の怪人ブルマムーは、ピラコチャの指揮がないために呆然として立ち尽くしている。運動神経にすべてをまわしてしまったツケがまわってきたわけだ。


やれやれ。自分の番か。

シータは腰から、細い曲刀を抜いた。


しかし、その曲刀に、しゅるしゅると赤いリボンが巻き付いた。

「あなたの相手は、あたしよ!」


「スクールレッドか。面白い、いいだろう!」

シータはレッドとの間合いを一気に詰めた。


レッドはかろうじてその初撃をかわすと、狭い間合いには不利なリボンのステッキを放り投げ、代わりにバトンを取り出し、シータの第二撃を受け止めた。


シータは、動きの妨げになるマントを払うと、レッドに投げつけた。

一瞬視界を遮られたレッドの背後に、大きく跳躍したシータが降り立つ。


「もらった!」

だが、レッドの腹部を狙ったシータの蹴りは、空を切った。


レッドは瞬時に股を開いて全身で地面に貼りついていた。

そうか、レッドは…体操部か!


シータは悦びに打ち震えた。

これだ、これが私の戦いなのだ。

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