テントの設置は終わり、ラインカーによるグラウンド中央の線引きなど、ひととおりグラウンドの整備が終わる頃には、日はすっかりと暮れていた。


役員たちは生徒会室に戻り、最後の確認作業をしていた。

これまで救護用の道具を整理していたひかりも、生徒会室にきていた。


博斗は、テントを持ち上げる際にぐきりと音がした自分の腰をとんとん叩きながら、この会議に参加していた。

しかし疲れは決して博斗だけのものではなかった。


明日、体育祭当日のタイムテーブルを確認している遥はじめ一同も、自分の話す必要がある時以外はむっつりと押し黙り、疲労の影を色濃く見せていた。

お互いに、そのことがわかっているのだろう、議事はてきぱきと滞りなく進み、ほどなく終了した。


「お疲れ様~」

遥は、疲れた笑顔を浮かべて一同に声をかけてまわった。


会議中、ティッシュペーパーでてるてる坊主をつくり続けていた燕が、遥にてるてる坊主を渡した。

「これで、あしたもはれだよね?」

「もちろんよ!」


博斗はそんな彼女たちをみて、ほっとため息をついた。

「…なんとか、今日は乗り切ったみたいだな」

「ええ。問題は明日ですね」

ひかりがうなずく。


「ほんとに、ムーの連中がこないことを祈るよ」

博斗は舌を出した。

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