第2話

3682のあとではなく、3836を挟んだ逆側に新しいポストはきた。

真新しい、赤い、ポスト。

引き起こされて塗り直された3836はやあとあいさつしたけれど、赤いポストは返事もしない。

ずっと遠くを見つめてる。

どこを見てる誰を思ってる。

聞こうにも、名前もわからない。

しょうがない、“赤いの”と呼ぶことにした。

赤いの。

今日は寒いな。

赤いの。

今日はましだな。

赤いの。


赤いのじゃない。

あたしは4300。


すげえ。

切り数字じゃん。

おれも切り数字がよかったなあ。


赤いポストは何も言わない。

ただ、クールにおれを見てる。

そしてつんと、やっぱそっぽ向いた。



かすがさんがきた。

ほかのやつ連れて。

取り出しや交換教えてる。

待ってくれ。

かすがさん、やめる…のか?

前ののがみやしのづかみたく。

そいでこれからそいつが…?


お嫁行くんだ。

旦那さん外国出張中だからさ、あたしもその国行くの。

寂しくなるよ。


誰に話しかけてんですか?


新人に急かされて、かすがさんは去った。

何度も何度もおれを振り返りながら。


世界が色を失った。

雪を払ってくれた手も、

汚れを落としてくれた手も、

もうない。


二週間黙ってたら、



ねえ



突然赤いポストが言った。


こっちを見もせずに。


ねえ。

あたしがいるじゃない。









冷たい口振りの優しい言葉に






おれは一気に号泣した。

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