俺のアレ、やっぱりそんなにデカイんだ……

 実は3年くらい前に睡眠時無呼吸症候群(※)の検査をしたことがある。

 ※睡眠中に10秒以上の無呼吸が何回か続くこと


 ある時期、仕事中に睡魔が襲ってくることが頻発した。

 当時は営業として車の運転を毎日していたということもあり、念のために検査をした。

 検査キットを病院から借り、寝るときに指と鼻にセンサーを付けて、睡眠時の呼吸の状態をチェックするというもの。

 そのときの結果は、という微妙な判定だった。


 結果を告げられる際、医者から言われたことをふと思い出した。


「キミ、のどちんこデカイね! いびきデカイでしょ! のどちんこ、取っちゃう?」


 当時は“いびき”の自覚が無かったため、「オッケー! 取っちゃう!」なんて言えるわけもなく、なんて物騒なことを言う医者なんだろうと軽く流していた。

 だが、今となっては医者の言っていたことは正しかった。

 俺、いびき、デカかったみたいっす。


 とはいえ、さすがにいきなり“のどちんこ”を切るのは怖い。

 とりあえず、いびき治療で評判の良い病院をネットで探し、診察の予約をした。

 なんというか、セカンドオピニオン的な?


 そして初診に向かう。



(2018年5月某日)


 問診票に身長・体重や既往歴を記入し、自分の順番を待つ。

 看護師さんに名前を呼ばれ、小さな部屋に入る。まずは鼻の空気の検査をするとのこと。

 耳栓のようなもので、鼻の穴を片方ずつ塞ぎ、マスクのようなものをかぶり鼻呼吸をする。

 呼吸のたびに画面上のグラフがうにうに動いて面白かった。

 左の鼻が少し詰まっているみたいだけれど、特に問題はないとのこと。


 そしてまた10分ほど待ち、次は医者の問診。

 以前、睡眠時無呼吸症候群の検査をしたことを話し、そのときは問題は無かったことを伝える。

 ただ、当時よりも体重は5kgほど増えたことを話すと「やっぱりね」と言われた。

“いびき”と“睡眠時無呼吸症候群”と“肥満”には大きな関係があるらしい。


 そして、口を開けて喉を見せる。

 その途端、「こりゃあデカい! いびきもデカいわ」と驚かれる。

 なんだかよくわからないけど、ちょっと恥ずかしい……。

 俺のアレ、やっぱりそんなにデカいんだ……。


 ポラロイド写真で自分の“のどちんこ”の写真を見せてもらいながら、「この辺を全部、切っちゃう手術、日帰りでできるけど、する?」と説明を受ける。


 いやいや、ちょっと待って。

 そんな軽く言われても、心の準備が。


 とりあえずいくつか質問する。


 Q.手術しないと“いびき”は改善しないの?

 A.もっと痩せれば少しマシになるかもしれないが、これだけ“のどちんこ”がデカいと厳しいと思う。


 Q.“のどちんこ”って切っても大丈夫なの?

 A.実は不要な器官。サルまでは必要だったけど、退化しそこねて残ってるだけ。


 Q.切ったら声はどうなるの?

 A.声は変わらない。むしろ声の通りが良くなって、カラオケで高い声が出やすくなるよ。


 Q.リスクは? 痛くない?

 A.中には違和感が続く人がいる。人によっては痛くならない人もいれば、二週間くらい痛みが続く人もいる。あと、水が気管に入りやすくなるから、その辺りは慣れが必要。


 Q.一度手術すれば、ずっと“いびき”は改善するの?

 A.基本的には改善する。ただ、肥満になると別の要因で“いびき”をするようになるから、肥満には気をつけろ。夜は炭水化物を抜いた方がいい。



 少しだけ考えて、承諾をした。


 そのあと血液検査を行い(HIVの検査も兼ねるらしくサインもした)、手術の日程を決める。


 と言われてしまった、俺の“のどちんこ”。

 記念にもらったポラロイド写真を見ながら、帰路に着く。


 手術は今月中に行う予定。

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