ONE WAY
赤い月の魔王
禁酒法の街に響く賛美歌 01
※この小説は、なんとかかんとかさんにより執筆されたシナリオ「ナイト・オブ・ジャズエイジ」の内容を含みます。ネタバレ等ございますので注意してご覧下さい。
まずはプレイヤーキャラクターの紹介。
1人目、シスターの「テミス・モジョヘジョヴィッチ」
某暴力教会所属であり、拳銃をはじめとし、ライフルはもちろん明らかに体格よりも巨大な銃を扱うも、どこにしまいこんでいるのかわからない。四次元ローブ&ケープの持ち主。なおロシアからの亡命者。
見かけはただのシスターを装い、目元を長い前髪で隠しているが、その中身は……。
2人目、警官の「リック・キャッスル」
エリートコースまっしぐらの、金にガメついサボり警官。
非番や外回りを装い事務所にサボリにくる。探偵事務所は協力者への礼を惜しまないのを知っているため、都合のよい副業として彼らにたびたび協力する。
警察であるが銃の腕は、の〇太やゴ〇ゴ級。なぜ貴様ヒラのポリ公なんぞしている?
3人目、記者の「メイ・ジストーン」
コスいネタを集めては新聞社に売りつけるフリーのジャーナリスト。
派手な見た目とは対極に気配は非常に希薄で、よく「消える」のが特徴。
ナイフのコレクターであり、手持ちのナイフはチンピラ相手とかネタで揺すった相手から奪ったものだとか様々。
事務所に居座り、半ば助手のようになっているのも、「苦労しなくてもネタが集まる」からだ。マスゴミを体現したような記者である。
では本編開始。
ここはアーカムに居を構える、「ケネス・ヒース探偵事務所」
今日から新しい探偵が一人くる予定だったのだが、到着が遅れているらしい。
それまでの間に、居座る輩たちを紹介しよう。
まずは、そこの警官。
名をリック・キャッスルという。
彼は非番でなくても非番だ、外回りだといってサボリにくる給料泥棒である。
居心地がよく、退屈しないそうだ。
事務所としては、邪魔にならないどころか割と警察へのコネがあると思っているのであまり邪険にはしていない。
次に背後に立つ記者。ジャーナリストだ。
名をメイ・ジストーンという。
非常に気配が希薄な女性で、彼女いわくストーキングに重宝する、らしい。
趣味はナイフ収集。刃物愛好家だそうだ。
ここにいる理由は、ネタを追わなくても勝手に舞い込んでくるから、だとさ。
なに、こちらとしてはここの知名度が上がればそれでいいのさ。
最後に、そこのシスター。
名を、テミス・モジョヘジョヴィッチという。
もう一度言おう。モジョヘジョヴィッチだ。
フードで顔を隠しており、目を確認することはできないが、大層な美人だという。
彼女は街から離れた教会の修道女だといい、布教のためにここらに来ているそうだ。
ただ、普通の教会ではないようだね。
今は祈りを捧げている最中のようだし、このことについてはまた後で。
これが今のケネス・ヒース探偵事務所の主要たるメンバーだ。
とはいえ、非常勤ばかりだがね。
「あぁ、神よ。今日も私に太陽のお恵みを……。」
「飽きませんねー、彼女も。ところで今日はなんですか?外回り?パトロール?非番?」
「宿直当番だ。」
「それで昼間っから酒なんて飲んでるんですねー。記事にしちゃおうかな。」
「おい馬鹿やめろ。首が飛ぶ。」
そんなことを話していると、ドアをノックされる。
「おや、誰かな。だれか通してやってくれ。」
「では俺が行こう。」
ドアを開けるならばそこには、若い男がいた。
彼はリックをみて、一度外に出て、看板をみて、また入ってきた。
「どうした?」
「ここは、ケネス・ヒース探偵事務所であっているのか…?」
「あー、あぁ、一応。」
「あんた、警官…。」
「サボりだ。気にするな。」
それはそうだろう、中を見ても所長と思しき人、その秘書と思しき人、警官、記者、修道女。これは一体何だ…。
「客かね?」
「ええ、そのようです。」
「ではシスター。お通しして、案内を頼むよ。」
応接間に通され、彼は周囲を見渡しながら。いや、もはや警戒しながら座る。
「テミス・モジョヘジョヴィッチです。今回はよろしくお願いします。」
「モジョ…なんて?」
「まあまぁ。お仕事の話をしましょうか。」
「まぁ、いいだろう……。」
彼から依頼されたのは、ある人物を探し出すことだった。
「俺はルー・ベニト。ロウアー・サウスサイドにある「アントンのレストラン」を経営している。」
「わたしも外食したーい。」
「わかったわかった今度な。」
「金庫とレジの金を持ってにげたウチの帳簿係を探して欲しい。」
「まぁ、それは大変でしたわね。」
「まったくだよ。その男は、「アル・カセッティ」という。これが資料だ。」
ルーは顔写真や履歴などを渡してくれる。
「これで全部だ。」
「写真、連絡先、下宿の住所。あとは、レストランの住所だ。」
「前金を置いていく。何かわかったらうちに来てくれ。」
後ろで聞いていたリックは警察官である職業柄、気付くことがあった。
アントンのレストランの住所、そこは《イタリアンマフィアの拠点》であることに。
ジャーナリストのメイは金の入った茶封筒を見て、《明らかに相場よりも多い》事に気付く。人探し程度の依頼なら、それこそその前金だけで依頼料となりうるレベル。
依頼人のルーが帰ったあとで、シスター、警官、記者は顔を合わせる。
「んー、これ、マズい仕事じゃないですかぁ?バリバリ不審者ですよアレぇ。」
「俺もそう思う。だってあいつ、イタリアンマフィアだし。」
「あはぁ、これは神のお導きでしょうか。貧しき私にお恵みを……。」
お祈りはそのままに無言で自分の棚から銃を取り出して整備を始めるテミスを横目に、リックは立ち上がる。
「とりあえず、所長に聞いてみよう。俺たちの所存で受ける訳にはいかない。」
「まぁ、そうですねえ~。テミスさんは受ける気満々っぽいですけど。」
「何?裏のある依頼?マフィアが依頼主?そっかー、いいんじゃないか?」
「へ、いいんですか?」
「だってほら、君たちのことだから。死なないでしょ?何も心配いらない。」
「は、はぁ。じゃ、受けますね。」
「あぁ、今回も頼んだよ。」
「……というわけでお許しがでた。って、何やってんだ。」
「見てわかんないかなぁ?ナイフを研いでいます。」
「主の命を今ここに、御心のままに悪を裁き、鉄槌を下しましょう。フフフ…。」
「じゃ、どこから行く?」
「とりあえずアルの下宿、からではぁ?」パチンとナイフを仕舞い
「そうですね。行きましょうか。」ジャコンと銃にマガジンを装填し
「お、おう。じゃ俺も、とりあえずこれでいいか。」ジャキっと銃にシェルを込める
警官すらもしれっと最もゲージの大きいショットガンを担ぐあたりどいつもこいつもクソ野郎である。
そして騒がしく彼らが出て行った数十分後のことだった。
静けさを取り戻す事務所にドアをノックする音が響く。
「こんにちは!!今日からここに勤務させて頂くルーナ・ミストアイルズと申します!!」
ここに来て、本職の登場である。
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