ちっぽけな少年のおっきな魔法

ピグッピー

第1話

少年の目に映るのは燃え盛る森、荒らされた畑、崩壊している家々。

そして...大量の魔物の死体とその近くで血だらけの少年を怯えながら見ている母親だった。



アステラ村


ノイルン王国の南西部にある王国一面積が大きい"大地の森"の中央部に位置するあまり大きいとは言えない村である。

そんな村に一つの大きな産声があがった。


おぎゃぁぁぁぁ


「サラ、頑張ったな。元気な赤ちゃんだぞ!」


1人の青年が興奮気味に叫ぶ。

産まれたての赤ん坊の父親であるマルクスである。


マルクスの特徴を挙げるとするとまず出てくるのが燃えるように赤い髪だ。

アステラ村では基本茶髪や金髪のため赤い髪というのはとても珍しいのだ。

もともとマルクスは王都出身だがサラと結婚するために森に囲まれたこの村に来たのだ。


「こら、マルクス。まだ産まれたばかりの子もいるからあんまり大きい声を上げないの」


赤ん坊の母親であるサラが優しい笑みを浮かべながらマルクスにこう告げる。

サラはアステラ村の村長の一人娘で金色の長い髪をもつ美人である。

また魔法が得意で、14歳で村を出て王都で冒険者となりそこでマルクスと出会った。


「わ、悪い。つい嬉しくて興奮しちまった。

でも、本当によく頑張ったなサラ」


「ありがと、マルクス。ちなみに男の子よ」

それを聞いた途端にマルクスは満面の笑みを浮かべた。


「おお!男の子か。じゃあ俺が鍛えて立派な男にしてやらないとだな!」


「男の子が嬉しいのは分かったから声は抑えてね」


「はい...」


サラの言葉にうなだれるマルクス


「ふふ 分かったらいいのよ。マルクスったらずっと男の子が産まれたら俺が鍛えるんだぁ!って言ってたものね」


「それは、その、あれだよ男なら強くならないとだろ?だから冒険者だった俺がだな...」


サラに赤面しながらそう訴えるマルクス


「そうね。きっと強くなってくれるわ。

それはさておきこの子の名前よ」


サラが真面目な顔になりそう言う


「そうだな。俺たちでずっと考えてきたんだもんな」

「ええこの子は男の子だから...」


産まれたての我が子を見下ろし笑みを浮かべながら呟く。





「あなたの名前はジーク。800年前に国を救ってくれた英雄、ジークリアン様のように

大事な人を守れる人間になるのよ」


こうしてジークの物語は始まりを告げる


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