第117話 ちょっとのんびり雑談を

 3日目はテニスと卓球の3回戦以降。

 うちの部屋で残っているのは楓さんのテニスだけだ。


「これ準決勝までは楓、かたいんじゃない。見る意味ある?」

 テニスは1回戦で1年生をかためている。

 だから楓さんの次の試合も相手は1年生だ。


「代田さんか。うーん、今一つわからないわ。授業には出てくるけれど無口だし、あまりアクション起こさない人だから」


「実はそういう人が一番怖かったりするよな」


「うーん、どうだろう。1回戦も平凡だったようだし」


「でもどっちにしろ他にする事も無いだろ」


「同意」

 という事で。

 結局朝のテニス第一試合を見に行く事にした。


 今日は試合数が少ないので開始は9時から。

 朝食を食べた後、少し時間がある。

 だから部屋でちょっとゆっくり。


 なお栗平と楓さんは姿が見えない。

 同じ部屋の筈なのに寝る前と食事時以外、滅多にあわなかったりする。

 まさかまた風呂でいちゃついているなんて事は無いよな。


「大丈夫、風呂にはいない」

 先回りして理彩さんに返事されてしまった。

 おいおい。


「理彩も最近は大分不用心になってきたわよね。前は気を付けていたのに」

 何のことだろう。


「正樹が言葉に出していない事まで返事をしているでしょ、最近」

 そう言われて気づいた。

 確かにそうかもしれない。


「大丈夫、正樹と未来、あとは楓とか互いに心が読めるどうしでしかやらない」

「ならいいけれどね」

「でも気をつける」


 ふむふむ。

 やっぱり魔女の間でもその辺は気をつけなければならないのか。

 もはや慣れていて気にもしていなかったな。

 そんな事に気づく。


 さて。

 ちょっと思い出したので聞いてみる。


「そう言えば2人とも、どういう感じで入学を決めたんだ。何か戸別訪問や招待状が来たとか話を聞いたけれど」


 なおかつ楓さんのようにお試し戦闘やって人も少なくないようだ。

 会長抹殺なんて目標を持った2年が多いって話も聞いたし。


「私の場合も戸別訪問ね。日本に来ないかって。戸籍変更等の手続きや生活費、魔法による日本語習得までセットという事で。

 色々考えたけれど生活水準とか今後の生活設計まで含めて家族と相談して、それで行ってみようって。魔法を隠さなくてもいいというのも魅力だったかな」


「うちの場合は最初は案内状だった。私宛と、別居している母宛と。いくつか疑問点をメールで相談してそれで決めた」


 なるほどな。


「私が知っている限りでは、誰かと直接対決した結果入学したというのは楓だけかな。でも半分は授業に顔を出していないしね。だから全体でどうかはわからないわ」


「魔法の力が強い方が授業に出てこない。色々社会的な経験なり、魔法の性質のせいだったり。楓もそうだ」


「そのうち色々出てくるのかもね。授業に出なくても合宿には出てきたりして」


 そういう事もある訳か。

 色々普通科と違うけれど、納得は出来る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る