闇憑少女
KM@サヴァン
第1話 闇憑少女と悪虐少年
「あはは、誠と出会ってからはまるでジェットコースターのように日々が過ぎていくよ」
無霧緋響は楽しげに、そう語る。
「お前はいつだってそうだろうが。俺と出会ったって出会わなくたってお前は変わらないさ」
阿久岐誠はつまらなさげに、そう答える。
「そうかなー、そうでもないよ。誠は私にとって特別だよ?誠以外に面白い人なんてこの世にいないくらいにさ」
緋響はどうでもいいように、あっけらかんと笑顔で語る。
その笑顔に偽りはない。
その言葉にも偽りはない。
「俺は普通だよ。少なくともお前よりはな」
誠も、本心からそう答える。
「やだなー、私だって普通の女の子だよ」
やはり緋響は、本当に心の底からそう思っていた。
本気で、自分は普通だと思っていた。
「…そうか」
誠は、緋響の言葉が正しくないことを嫌というほど知っている。
それでも、それを緋響に突きつけたりはしない。
誠がどう言ったところで緋響は自身の異常さを自覚することはないことはわかりきっていた。
しかし、自身の異常さを自覚していないのは誠も同じだった。
無霧緋響の隣に居続けられることが既に異常だということに、否、自分が無霧緋響の隣にいることに、まだ気づいていない。
これは、闇の権化のような少女と、悪の成り損ないのような少年が、無自覚に寄り添い合う日常の物語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます