愛されざるもの

なにも愛せぬときがくる

せいひつとした惑星も けんらんとした銀河系も

ぼうばくとした世界でさえも ゆうすいとした宇宙でさえも

破滅へばくしんしながらも こうまいたりうる全人類も

なにも愛せぬときがくる


「ああ、なぜだれもが愛してくれぬ」と


すべてを恐れるときがくる

 悲劇へむかう運命を あんたんとした人生を

どうもうきわまる絶望を 残虐きわまる死とやらも

舐犢の愛でむすばれた かけがえのない家族でさえも

すべてを恐れるときがくる


「ああ、なぜだれもが愛してくれぬ」と


しかし、あなたは聴くだろう

幾億万もの生命も 森羅万象そのものも

天地をかいびやくしたまいし 不滅の神であろうとも

すべてがともにどうこくしている

あなたとおなじくほうこうしている


「ああ、なぜだれもが愛してくれぬ」と


あなたを愛さぬものなどいない

あなたを愛せぬものなどいない

愛されざるものたるだけだ

愛してほしいだけなのだ


「ああ、なぜだれもが愛してくれぬ」と

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