生さえ、死さえ

闇夜にうごめく蜚蠊ごきぶり

どうもうきわまるのごとくに 邪悪な濁世をちようりようしながら

人生なんぞを嘲笑し 絶滅なんぞを畏怖せずに

奴隷のごとくにあくせくしている 全人類に問いかける

生かされもせず 生きているか、と


ふんにむらがるむしけら

残忍きわまる魍魎たちと 悲劇の地球をばつしながら

文明なんぞを罵倒して 繁栄なんぞを憧憬せずに

悪魔のごとくにかつしている 全人類に喝をいれる

殺されもせず 死するがよい、と


おお、神さえもさつりくしたうえ

しようけつきわまる悪逆で 巨万の命をじゆうりんしつづけ

ほうはいきわまる闘争で 巨億の希望をせんめつしつづけ

憎悪と まんと 殺意と 狂気で 破滅へむかう人類よ

幾億年の生涯でさえ 生きることさえできぬのか


そう、人生のしゆうえんを 絶命なんぞを恐怖しながら

微粒子ほどの幸福を むさぼりらう人類よ

生きることさえできないものに 死することなどできるのか

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