詩集

悲劇の詩集に記された せいひつきわまる一編が

たいひんした青年を そうの言葉であいしてゆく

どうもうきわまる宿しゆくのために 地獄のような激痛に

ぞうろつしんしよくされて 死をこいねがう青年に

死してもよいぞと ささやきかける


激怒の詩集につづられた ゆうすいきわまる一編が

死刑に処される囚人を 憤怒の言葉でしつしてゆく

狂気とみまがう殺意のために さつりく犯に堕落して

諸行無常の監獄で 生に飢餓する囚人に

生きてもよいぞと 怒号をとばす


おまえは詩になれ 至高の詩になれ

全人類を陶酔させて 全生命をこうこつたらせて

生きとし生けるものたちに 舐犢の愛をほうこうするほど

崇高にして神聖たりうる 最高峰の叙事詩となるのだ

全人類の人生という 七十億の詩集のなかで


歓喜の詩集に残された わたくしという一編が

七十億の人類に こんな言葉を吐きてる

巨億の悲劇を乗りこえた 歓喜の詩集を駄作にするなと

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