第147話 分かりやすい進行?

 狼の魔物に囲まれた時はどうしようかと思ったけど。5人で無事乗り切る事もできた。


「あと少し行けば町に着きそうだね…ほい!」

「いつ来てもここには魔物が多いな…セイ!」

「夏の始めに来てからあまり日も経ってないんですけどね。あ、2人共くれぐれも前方には飛ばさないでくださいね。」

「りょ~かい。」

「分かっている。」


 森を抜けた後も魔物が襲い掛かってくるが、難なく排除する先輩ときりんさん。


「あ。ガラスに当たった雨をワイパーで弾く的な感じがする。」

「奏人はまた突拍子もない発言を。」

「でもそんな感じですよ。今回は前方に飛ばさないように注意もしてますしね。」

「今回はって前回はどうだったのよ。」

「それがですね……。」


 始めて森果町に行った時の話をした。学園から全力で走っていた時もこんな感じで魔物が現れた。スピードを落とすのもって事で魔物を飛ばして進行。

 結果としては飛ばした魔物で門を破壊、周辺地域の魔物を地面に突き刺した。


「「あぁ~やりそう。」」

「まぁ今回は初めに言っておきましたけど。」

「横に飛ばせばオッケーって発想もどうかと思うけど。」

「何か言いました?」

「べっつに〜。」


 何か含みがありそうだけど、まぁ気にしないでおこう。距離的に走ればすぐ着きそうな感じだったけど、着くのは夜中になりそうだった。町に夜中行くのはまずいだろうとその日は野宿した。

 その後休まず走り続けて町の外壁をが見えて来た。


「この外壁はどこから入るのかしら?」

「上に一箇所だけあるよ〜。」

「上?北の事かしら。」

「そうそう。」


 外壁を見上げて坂俣さんの疑問に先輩が答える。上って答えたのはきっとマップを見てたからだろう。


「んー…この高さで入り口一箇所だけって不便ではないのでしょうか?」

「それは前に聞いた事あって、守りに人数割けないから入口は少ないに越したことはない。って。」

「成る程。南は海で何も無いですしね。」

「あ!あと外壁を跳び越えるのは無しで…」

「しないわよ、てか出来ないわよ。」

「そうだね、僕と天には厳しそうだ。」


 奏人さんが思う疑問は過去に俺も考えていた。作物対策に魔物が近くにいる森で生きていくには、それぐらい慎重でもいいかも。


 冗談のつもりで言ったんだけど、坂俣さんに被せ気味に否定された。


「やっと着いた…町の半分くらいから歩いて来た訳だけど。」

「うん。」

「遠くない?」

「学園の倍以上あるからね〜走るのに丁度いい距離だよ。」

「先に言っとくけど、私は走らないわよ。」

「え?……翔くん走る時間あるの?」

「あ〜あまり長居すると捕まりそうですから。数日いるつもりですが。」

「そっか。じゃ後で走りに行こう。」

「ね〜和歌?人の話聞いてたかしら?」


 ようやく着いた北の門に着いて町に入って行く。門番の人と軽く挨拶してそのまま入れてもらう。


「お、坊主達来たか。」

「ナグマ町長、お久しぶりです。」

「少しくらい泊まるんだろ?例の家使えるようにしといたから好きに使ってくれ。ほれ鍵。」

「わっと!なんだか予測してたみたいに準備がいいんですね。」


 門をくぐってすぐに町長に会った。宿とかの事もあるから、後で行こうと思っていたから丁度いいタイミングだった。

 しかも、何も言わずに家を貸してくれて準備もいいし預言者でもいるのか?


「なーに。坊主達は目立つからな。北東方面で魔物が飛んでくと言う奇妙な報告を受けてな。」

「何となく分かった気がします。」

「がはは!だろ?一応こっちに飛んでくる可能性があると俺もここに居たって訳さ。」

「それは僕が始めに釘を刺しておきました。」

「がはは、いい判断だ!そんな訳だ。好きに使ってくれ。」


 鍵を受け取り町の中へ。まずは食べる物を探しに動く。

 森で魔物を狩って食べる事も出来るんだが、血抜きだの工程が多いから町まですぐだったし食べずに走って来た訳だ。


「すぐ食べれる物がいい。」

「そうなると露店ですかね……。」

「おーい、色男のにーちゃん!」

「…その呼び方は?」


 前に露店で買った時に会ったような…色男って。まぁ手軽にすぐ食べれる物って探すのもあれだし、気持ち引っかかるがここで買うとしよう。

 外で自分で狩りをして食べるより楽だし美味しい。調理はきりんさんがしているから美味しんだけどね。



 その後も町をぐるぐる回って食べ歩きをしたました。

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