第113話 運動不足で絶好調?

『注目の第1戦!ルニアラ対和歌。いよいよ始まるのじゃ!』

『ルニアラはああ見えて繊細で手ごわいですよ。』

『和歌も大胆で手ごわいのじゃ。』

『勝つのはルニアラですけどね。』

『いいや。勝つのはうちの和歌じゃ!』


 子供の喧嘩か?と思わせるやり取りが続く。


「2人とも静かに!その席ばらしますよ?」

『『はい!』』

「怒ったルカも可愛いな。」

「そこの兄も黙って。」

「はい…。」

「ルカ進めるぞ。」

「ええ。きりんお願いね。」

「サービス決まっているな?うむ。ではルニアラ殿からだな。ラブオール・プレイ!」


 ゲームは21ポイント制の2ゲーム先取。

 サービスはじゃんけんなどして決めるんだが、2人の学園長が騒いでいる間に決まっていたらしい。勝った方はサービスかコートを選ぶ。

 今回はルニアラさんが勝ってサービスを選んだ。


「いきますよ、ワカさん。」

「どんとこーい。」


―スッパーン。


「ん。それじゃ甘いよ。」


―ズパァン!


「え?」

「サービスオーバー、ワン・ラブ」


 普通のジャンピングスマッシュだったがルニアラさんは何も動けなかった。


『…速すぎませんか?』

『ん?今のスマッシュがかの?和歌ならもっと速く打てるぞ?』

『そうなんですか。まぁサービスも少し甘い感じも見受けられましたし、次ですね。』


 実況のはずが、ただ2人の雑談になっている…。


「じゃんじゃんいくっよ〜」

「は、はい!」


ースッパーン。

ーパーン。


「お?…よいしょ!」


―ズパァン!


「わわ!?」


ーパン。

―ズパァン!


「ツー・ラブ。」


『今度は反応できたが、甘いロブ上げてしまったの。』

『来ると分かっていても、厳しいコースにあの速さは返すのも難しそうですね。』

『そうじゃの。ルニアラ殿もコースに球種を考える必要はあるかの。』


ースッパーン。

ースパ!


「それは散々打ってきたよ。」


ースパ!


「はっ!」


ースパ!


「ほい。」


ースポーン。


「な!?」


ーピン。

ーパシュ!


「スリー・ラブ。」


『これまた強烈ですね。』

『ドロップに対してヘアピンは良いんじゃが、ネットからまだまだ高いの。』

『それもありますが、返しへの反応も異常に早い気がしますね。』

『和歌はああ見えて鋭いからの。』

『ああ見えてと言われても、私わたくし達は初対面です。』

『そうじゃったの。まぁ分かる者には分かるじゃろ。』


 隣で坂俣さんと奏人さんが頷いている。いつもの先輩はマイペースで鋭いイメージはあまりないかもしれないな。


ースッパーン。

ースポーン。

ーピン。

ーピン。

ーピン。

ーピン、がさ。


「ネット、フォー・ラブ。」


『惜しい。まぁギリギリ攻めればそうなる事もあるがの。』

『この積み重ねが大切ですからね。』


ースッパン。

ーパン。


「あ。」

「てやぁ!」


ーズパァン!


「ファイブ・ラブ。」


『ルニアラ殿はロングサービスが来ると思って、反応が少し遅れたの。』

『油断したようですね。しかし彼女は…ワカさんでしたか。サービスもお上手ですね。』

『今日は調子も良さそうじゃし、このまま行くと止まらなくなりそうじゃの。』


 確かに今日の先輩は調子が良さそうだな。昨日の運動不足がいい影響を与えたのかもしれない。うちの学園長が言う通り、このまま流れを切らないとルニアラさんに勝ち目が無くなるな。相手がどんな人かまだ分からないけど、この1stゲームが山場になりそうだ。


 試合の行く末を俺はじっと見ているのであった。

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