第112話 有り余る元気。
時刻は午前6時半。
俺と先輩にきりんさん。今日は他にも2人居る。
「走るって言うから一緒に来たけど。ここ外周何キロあるの?」
「え?ん〜ダッシュで30分くらい?」
「アバウトね…。」
「そういう細かい事は、きりんちゃんか翔くんに聞いて〜」
「そう言う訳で。翔さんは分かりますか?」
「外周10キロくらいですかね。」
「ん?10キロって30分で走れますかね?」
「魔力あればいけるんじゃない?その距離走ったりしないから分からないけど。」
それぞれが準備運動して準備完了。
「2人には言っておくが、学園からあまり離れないように走るんだぞ。」
「え?あ、はい。了解しました。」
「えぇ…和歌、あの人は誰なの?」
「きりんちゃんだけど?」
「いやいや、別人でしょう。」
「きりんちゃんは訓練や戦闘は基本あんな感じだよ。」
「変わった人が多いのね。」
「そうだね。きりんちゃんは変わってるよね~。」
「ソウダネー。(和歌もだけどね。)」
「では、行くぞ。いつも通り流すが無理なら自分のペースで走っても構わん。」
「心配はいらないわ。大丈夫よね?奏人。」
「はい。僕らの走りを見せてあげましょう。」
…。
……。
………。
「ソラとカナトは、何でそんなに疲れているの?」
「「ロスアさん…。お、お構いなく。」」
「あらあら。試合どうするセイルさん?」
「何してんだか。シロク、ロスア。先頼めるか?」
「えぇ。構わないわよ。」
「しょうがないわね。さぁ行くわよロスア!」
「気合十分なところ悪いけど~。始めはシングルスよ。」
「し、知っているわよ!」
若干元気のない2名を除き、皆やる気は十分だ。魔法陣が光を放ち2人の人物が近づいて来た。
「皆揃っておるかの?そろそろ始めるかの。」
「楽しみですね。早く見たいものです。」
2人はそのまま席に着く。椅子と机と茶菓子があって、その上あれは…マイクか?
「ルカさん、あの席はなんですかね?見るだけなら椅子だけでいいんじゃ?」
「私が作ったのよ。なんでも楽しみたいから作ってくれって。」
「楽しみたいって何なんだ?」
―キィィーン。
「魔力流しすぎたかの。あーあー。こんなもんか。」
「テトラは大雑把すぎるのです。私ワタクシのような繊細さを学んだ方がよろしいですよ。」
「ふん、言っておれ。ほれ、選手が待ちわびておるぞ。」
「そうですね。では、始めましょう。」
『お待たせしました。これより天河海対天河森の試合を始めます。この試合の進行させて頂きます。私ワタクシは天河海魔高学園の理事長、ルフィス・カバテンシスと申します。天河森の皆様よろしくお願い致します。』
『儂は天河森魔高学園テンガモリマコウガクエンの理事長やっておる、ステゴ・テトラベロドンじゃ。天河海の皆よろしく頼むぞ。さてとじゃ、選手はコートに入っとくれるかの。うちからは…。』
「はいはーい!私が行くよ~!」
『元気じゃな。頼んだぞ和歌殿。』
「がんばっちゃうよぉ~!」
待ちくたびれている先輩は元気いっぱいにコートに入る。
『では今度は天河海から。シングルス第1戦目は…ルニアラ。』
「うん。頑張るよ。ワカさんよろしくお願いしますね。」
「こちらこそ!一緒に楽しみましょう!」
『さて、お互いに熱い握手を交わして頂いたところで…。』
『注目の第1戦が始まろうとしているのじゃ!!』
「学園の最高責任者2人が楽しみたいが為に、あの放送席みたいのを作らせたのか。」
元気の有り余る先輩と学園長2人。そんな中、先輩をみて若干引いて2名。
「あれだけ走って、すぐに試合?しかもあんな元気ってなんなの。」
「ルニアラさん。気を付けて、その人の体力は…ぐふっ。」
「まぁ和歌先輩ですし。あと奏人さん、そんな小声じゃ届きませんよ。」
いつも通り外周を3周した後にこの試合となっている。慣れていない2人は、そんな先輩をまるで化け物を見るかのように…。とにかく、待ちに待った試合が今始まろうとしている。
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