第79話 生徒は従順?

 さて、試合が終わっていざ練習なんだが。


「翔よ。思った以上に効果的だった訳だが。」

「そうですね。」

「時間がそんなにないらしい。」

「そうですね。」

「でだ。即興でメニュー考えてくれ。」

「そうですね…え?俺ですか?」

「この雰囲気に慣れていたし、出来ると思ったんだが?」

「よく見てますね。」


 網野さんは本当に観察に関してすごく鋭い。向こうの世界での部活と一緒だし、試合を見て皆やる気満々だから指示はしやすいだろう。

 少ない時間で、全員が参加できるようにか…。



「では、攻撃と守備に分かれて打ち合いしましょう。」

「なら支持してくれ。待たせたな!翔がメニューの説明をする。しっかり聞いておけ!」

「「はい!お願いします!」」


 すごい統率力だわ。静かに話を聞いてくれるからいいんだがね。


「では説明しますー。」


 練習内容は1人3分でローテーションでの2つの打ち合い。

 打ち終わった後はコツや指摘を少し話して交代って感じにした。

 網野さんの方は取れるくらいの打ち込みを受ける守備強化。

 希望者にはあのスマッシュを体験出来るようもした。


「師匠!スマッシュ中心でお願いします!」


ーズパァン!


「は、はえぇ!!もう1本お願いします!」

「ロブが甘いぞ!これでは誰に対しても打たれるぞ!」

「はい!師匠!いきます!」


 気合い十分だな。あちらは網野さんに任せておけば問題ないだろう。

 で、もう1つが俺に自由に打ち込んでくる攻撃強化。

 スマッシュ希望ならひたすらロブ。

 ヘアピンならヘアピン。

 俺は打ちやすいように返球するだけ。


ーズパァン。

ーパン。

ーパーン。

ーパン。

ーズパァン!


「うん。今の感じいいよ。」

「ありがとうございます。」


ーパン。

ーパーン。

ーパン。

ーズパァン!


「ん。次は連続でスマッシュ出来るかな?」

「はい。」


ーパン。

ーズパァン!

ーパン。

ーズパァン。


「3分です。交代だよー。」

「何度か良いの打てていたよ。後はステップ意識して打ちやすい体制に持っていけると良いかな。」

「翔様が打ちやすく返して頂けたので。ステップ練習してきます。ありがとうございました。」

「はい……ん?翔様?」

「翔様。次は私です。ヘアピンお願いします。」

「え。あ、はい。」


 おや?呼び方が翔様になってる。さっき網野さんが名前言ってたからか?兵頭より翔の方が呼びやすいのかな。

 真面目に練習に付き合ってくれるし良いか。


「よく見ろ!お前なら返せるはずだ!」

「はい!もう1本お願いします!」


ーズパァン。

ーパン。


「良いぞ!よく返した!」

「あ、ありがとうございます!」


 向こうは熱いなぁ…。

 俺はそんな事を思いつつ生徒達の練習は続いていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る