第69話 …もしかして?

大蛇を討伐した後、町に戻る為に俺達は走る。


「あの、網野さん?」

「ん?どうした。」

「念の為聞きたいのですが。どこに向かってるんですか?」

「何を言うか。町に戻ると言ったでは無いか。」


俺達はかなり森の中を走ったと思いますが…。

大蛇の通った後をまた辿り、俺と先輩が確認した場所まで来たのは良かった。


「とりあえず。止まりましょうか。」

「よっと。どうしようか。」

「ふむ。次は右に真っ直ぐ走るか?」

「…それ、2回目ですよ。網野さん…もしかして?」

「…来た事無いところは…な。」

「迷ったの?」

「ぐっ…。」

「和歌先輩そこは言わないであげる所ですよ。」


なんだか落ち込んでいる網野さんを先輩が慰める。

始め森で自信満々に駆け抜けて、大蛇に遭遇できたのは奇跡だったんだな。


「ここの森はどこも似たような感じですから、わからなくても仕方が無いですよ。」

「うっ。」

「翔くんも人の事言えないよね~」

「す、すいません。」

「森の中じゃ太陽どこか分からないし、方角も分からないし。あーあ、空飛べればな~」

「空は飛べないが、方角ならなら分かるぞ。」

「え?分かるんですか?」


そう言って網野さんは学生証を出した。


「マップ オン。」


学生証からこの辺の地図が浮き出てきた。

そこには方角も載っていた。


「これが上向いてるから、あっちが北だな。」

「……。」

「これ便利だね。きりんちゃん、私達は使えるの?」

「ん?使えるはずだぞ。」

「マップ オン!…おー出たよー。」


俺はその光景をしばらく眺める。

先輩は新しい事を、試して満足した所で。


「翔くん。これってあれだよね?」

「そうですね。」

「私達がが通った道は確認できるようになってるね。」

「そうですね。」

「きりんちゃん これってあれだよね?」

「方角を確認する物だと教わったぞ。」

「網野さん、これ見れば町に戻れますよ。」

「な!翔はこれが分かるのか!?」

「え?あ、はい。」


網野さんはどうやら、地図が読めない子みたいだ。

とりあえずこれで帰れそうだし、今はついて来てもらおう。

俺達3人はやっと、町に向けて帰るのであった。


「お、帰って来たな。」

「戻りました。」


町長と町の人達が門の前で待っていた。


「いやな、バカに森が騒がしいかと思えば、急に静かになってな。皆心配してたんだぜ。」

「そうでしたか、森から帰るのに少々迷いまして。」

「あの蛇探して1日目なんだ、あんまり無理しないでもいいんだぜ。」

「その蛇なんですが。討伐できたんですが、持てそうに無いので、森に置いて来ちゃいました。」

「そうか、そうか。…え?」

「場所は地図見れば分かると思うので、明日一緒に回収でいいですか?」

「へ?あ、おい。討伐したって本当か!?」

「そうだと思いますが、念の為に確認お願いします。」

「お、おう。てか!詳しく聞かせてくれ!」


道中迷ったりもしたが、俺達は無事に帰ってこれた。

町長に急かせれつつ、朝出た家に戻る事になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る