第67話 時々しっかりする?

俺達はとりあえず森に入って町を背にして右に歩く。

いや違うな。


「あの、網野さん。このペースで走って問題ないですか?」

「ん?特に問題ないだろう?」

「翔くん疲れた?」

「いえ。それは大丈夫ですが。」

「ならばこのまま行く。早く見つけたいしな。」


なんか嫌な予感がしないこともないが…

戦闘モードの網野さんが言っているし大丈夫だろう。

そのまましばらく走り続ける。


「止まれ!」

「おっとっと。…ふふ。」

「居ましたか?…先輩それわざと言いました?」

「んーん。次いでちゃって、おかしくなっちゃった。」

「2人とも見てくれ。」

「「あ、はい。」」


網野さんが見つけたものは、蛇が通った後だった。


「翔はどっちだと思う?」


蛇が通った後は右と左に別れている。

森の中に戻ったなら、右から左だが…


「右を確認してから、左に行くですかね。」

「ふむ。」

「なんで右からなの〜?」

「右って町があるかもな方角なので、万が一にそっち行っていたらまずいかなと思い。」

「そっか。それは見ておきたいね。でも蛇も追いかけたいね。きりんちゃんどうする?」

「翔に和歌は右に行ってくれるか?私は左に行く。」

「1人で大丈夫ですか?」

「それが最善だろう。頼めるか?」

「それでいいよ〜何も無かった方はダッシュで戻ればいいんだよね?」

「そうだな。くれぐれも見つけても手は出さず、後を追うだけだぞ。」

「はい。了解しました。」

「きりんちゃんも1人で戦っちゃダメだよ。」

「…もちろんだ。」


最後の間が気になったが、大丈夫か?

俺と先輩は右に、網野さんが左に蛇の通った後を確認する為に別れた。


「翔くん、早く確認しに行こう。きりんちゃん1人で戦うかも。」

「あの間が気になりましたね。でも先輩に言われたから突っ走らないと思いますが。」

「そうだけど。もしかしても考えていかないと。」

「…そうっすね。」

「こっちに居る可能性もあるし、気をつけて行こう。」


時々先輩はしっかりする。

いや、いつもしてない訳ではないんだが…。

言ってる事は確かだからいいんだけどさ。


「翔くん。ここじゃないかな?」

「そうみたいっすね。」


暫く行ってすぐに辿り着いた。

木が倒れて蛇の通った後が終わってる。


「翔くん。ここから向こうに行ったでいいんだよね?」

「そうですね。すぐに戻りましょうか。」


俺達は来た道をすぐ戻る。


「…蛇を見つけたのはいいのだが。和歌に言った手前…。」


―キシャァァ…。


「前より大きくなっているな。魔物を食べているからか?」


―ごくん。キシャァァ。


「これ以上大きくなられても厄介だな。しょうがない…」

「はい。ストップ。1人で言っちゃダメだよ。」

「どうやら、間に合ったみたいですね。」


俺達はぎりぎりで間に合ったの。

今にも飛び出しそうな網野さんを先輩が止めて。


「2人ならすぐ来るだろうと思っていたよ。」

「割とすぐ目的地には着けましたし、ダッシュで戻ってきましたから。」

「そうだね。きりんちゃんは後でお話しようね。」

「…さて、あの蛇なんだが。」


蛇が魔物を食べる度に大きくなる事を聞いた。

3人揃った事だし、討伐を開始しようか。

俺達は気づかれないように、後をつけつつ作戦を考えるのであった。

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