第35話 どこまでいくんでしょう?

「和歌先輩…。」

「ここの攻めでどう出るか。」


20-19でルカさんリードの1ゲームマッチ。

俺はただ見てるだけしか出来ない。

網野さんも今後はどうなるのか読めないみたいだ。


「ここまで迫られるのは予想外だった…いくわよ!」

「すぅ…はぁ…。よし!」


―スッパァン。

ッス…。

―ズパァァン!!

「な!」

「サービスオーバー、トゥエンティー・オール」


ルカさんのサービスで先輩がいきなり勝負を仕掛けてきた。


「なんか、和歌先輩消えたって言うか、ぶれた??それにあのスマッシュは…。」

「スマッシュはローが打ってたのに近いな。動きに関しては、翔も使ってたじゃないか。」

「…え?俺ですか?」

「なんだ。無意識なのか。結構使っていたぞ。」

「結構使ってたんですか。知らなかった。」

「あれは、見ていてかなりの魔力使うから多様はしない方がいいぞ。」


先輩がぶれたように見えたのは、俺もやっていた動きらしい。

しかもかなり魔力を使うと網野さんに言われた。

気づかずやってたから予想より早く魔力切れたのか。

それにプラスでローランドさんのスマッシュで、先輩の魔力大丈夫なのか?


「ふぅ…できた。」

「なんかもう出鱈目ね。あんな事もできるなんて。」

「さっき翔くんとローさんの試合見てたからできるかなって。」

「見て出来るものでもないけど。これも感受の魔力なのかしら?」

「ん?次いきますよ。」

「ええ。」

「すぅ…はぁ…。」


―スッパーン。

―スポーン。

―パーン。

―スポーン。

「さっきの見て警戒して、クリア打つの止めたな。」

「さすがにあれは打ち返すの大変ですからね。」


―パーン。

―スパ!

―スパ!

―ピン。

―ピン。


少しも気が抜けない攻防が続く。

ルカさんはクリアを打たないように、先輩はいつでも打ち込む気持ちで。


「和歌先輩ものすごく狙ってますね。ルカさんは上手くかわしてます。」

「ルカはここ一番は冷静だ。和歌が打ちにくい返しもしてるな。」


網野さんが言ってる通り、先輩は攻めづらそうだ。


―ピン。

―ピン。

―ピン。

「この流れは…。」

「いや、さすがに長引かせないだろう。」


さっきのヘアピン地獄が続くかと思っていたが。


―パーン。

「あ。これは、無理です!」

―パーン。

「そうくると思ったわ。」

―ズパァン!

「サービスオーバー、トゥエンティーワン・トゥエンティー」

「ルカさんはヘアピンを低めのクリアで滞空時間減らしましたね。」

「さすがに和歌も返すので精一杯だったな。」


またさっきの展開に戻った。

これでロングサービスしたら、あのローランドさんのスマッシュが来るだろう。

そうなるとショートサービスだけど、それも狙われてるだろう。


―スッパン。

―パシュ!

―パーン。

スッ…。

―ズパァァン!!

―パン。

―ズパァン!

「サービスオーバー、トゥエンティーワン・オール」

「ショートサービスをプッシュでねじ込んで、うまくスマッシュにもっていったな。」

「さっきのスマッシュ毎回打てるものですかね?」

「バドミントンが初めてなら、無理だと思うが。もともと和歌はスマッシュ得意なんではないのか?」

「んー…。割となんでも出来てたような。」


高校で一緒にやっていた時も、割と何でも出来ちゃう凄い人だったけど。

魔力に不慣れな先輩だけど、出来ちゃうのはさすがだな。


「さて、この後どうなるかまったく想像できんな。」

「そうですね。どこまでいくんでしょう?」


この後も先輩とルカさんの攻防は続いていく…。

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