第34話 普通にやりましょう。

―ピン。

―ピン。

「やっ!」

「はっ!」

―ピン。

―ピン。サッ

「サーティーン・イレブン」

「2人ともネットにかかるってくらいギリギリ攻めてるのか。」

「あまり変化は見られなかったが、繊細な戦いだったな。」


長いヘアピン対決は、先輩がネット掠めた返しでポイントを取った。

ヘアピンで競う事はもうしないだろうな。

2人ともちょっと疲れた顔してる。


「和歌。一つ提案なんだけど。」

「あ、私も一つあります。」

「「普通にやらない?」」

「「…そうね。」」

「ここまでどうして普通にやらなかったんだろう。」

「まったくだな。似た者同士も困ったもんだ。」


スマッシュに始まり、クリア、ドライブ、ヘアピンと打ち合っていたが。

次またやるのが疲れたのか。

一通りやって満足したのか。

…先輩なら後者だな。


―スッパーン。

―パーン。

―ズパァン!

―パーン。

―パーン。

―ズパァン!

―パーン。

「あれ?気のせいか、最初と変わらない流れだ。」

「…どうだろうな。これから変わるんではないか?」


―ズパァン!

―パーン。

―スポーン。

「お。ルカさんドロップで返した。」

―ピン。

―パン。

―パーン。

―パーン。

「ヘアピン、ロブ、クリアと試合になってきたな。」

「これが、2人の言う普通なんですかね?」


網野さんが試合になってきたと言ったが…。

攻防の感じからすると、ハイレベルな戦いすぎる。


「ルカもそれなりに強いと思っていたが、2人がこれだけ打ち合えるのは凄いな。」

「和歌先輩はなんでも器用にこなせちゃういますからね。」

「和歌もそうだが、翔もだからな。」

「俺ですか?結局は勝てないで倒れちゃいましたよ。」

「結果はそうなったが。ローのスマッシュを何本かで返したではないか。」

「返すだけで精一杯でしたよ。俺にはあれをさらっと返してる、網野さんが凄いと思います。」

「部隊の中では、ルカがローのスマッシュを少しは返せるぞ。」

「少しですか?リコさんとヘレンさんは?」

「ルカは半々って感じで、リコは返せないな。ヘレンの場合はそもそもあれを打たせないから、拾えるかは分からんな。」

「あぁ、ヘレンさんならそうしそうですね。」

「うむ。なのでローのスマッシュはそうそう返せるものでもないんだ。」


ローさんのスマッシュを返すのは想像以上に難題だったみたいだ。

ヘレンさんみたいに打たせないのがいいのは分かるんだけど。

出来る事なら、しっかり打ち返したいな。

網野さんと話してる間も、ルカさんと先輩の試合は点差は広がらず。

取って、取られての接戦だった。


「トゥエンティー・ナインティーン、ゲームポイント」

「ルカさんのゲームポイントですね。」

「ここまで接戦になるか。和歌はどうでるかだな。」


ルカさんと先輩の戦いは激しさをますばかり。

いよいよ1ゲーム目のルカさんセットポイント。

先輩どうするかな…。ここまできたら頑張ってもらいたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る