第26話 試合と言う名の戦い。

食事を終えた俺達は戻ってきた。


「では、組み分けする。翔に和歌は主審や線審はできるのか?」

「バドミントンのならできます。特殊な事がなければですが。」

「たぶん一緒だと思う。一度見てみてどうかってとこかなー。」

「ふむ。なら主審はリコに、線審はヘレンとルカやってもらおう。」

「はーい。リコがびしっと仕切っちゃうよー。」

「…あぁ。」

「りょーかーい。」


各々に指定の位置に行く。

試合はローランドさんと網野さんがやるのかな?


「では、試合をやるか。ローに翔。準備しろ。和歌は次にルカとやってもらうがいいか?」

「おっしゃ!やってやるぜ!」

「お、俺ですか!?」

「いいなー。私も早くやりたいけど。見るのも勉強と思えば。」

「翔に和歌は、口で言うより実戦が一番だ。ルールは21ポイントの3ゲーム。特殊事項があるとすれば魔力切れも敗北というところだ。」


俺は突然試合する事になった。始めは誰かの見てからだと思ったけど。

網野さんとの打ち合いを見ていたけど、甘い返しは打ち込まれるだろうな。

魔力切れについてはヘレンさんに聞いていたし、全力で魔力使ってたら先に魔力が切れるのは俺だ。

そうなると戦い方は考えないといけないな…。


「翔は試合の経験もあるみたいだし、バドの動きは大丈夫だろう。まずはやりたいようにやってみろ。」

「……了解っす。」

「がはは。手加減はできないからな!楽しく行こうぜ!」

「はじめるよー。集まって。握手!」


俺はローランドさんと握手をする。…手でかいな。


「ジャンケンしてサービスかコート決めちゃって。」


どこの世界でもジャンケンは世界共通らしい。

俺は勝ってサービスを貰った。


「始めちゃっていい?練習いる?」

「俺はなくても構わんぞ!」

「俺も無しでいいです。」

「ではでは。ラブオール・プレイ!」


サービスは貰えた。まずは一本…決めていこう。


「ふぅー…。」

―スッパン。

「ぐ、いきなりショートか!っく。」

―パーン。

「ここ!」

―スパン!

「ワン・ラブ。」

「ほぉ。意表をついたな。」

「そうですねー。翔くんって昔からあんな攻め方するんですよ。初めからショート使うって事はスマッシュでも警戒してるのかなー。」

「和歌もよく見ているな。私とローの打ち合いを見たんだろう。翔は中々に策士だな。」


まずは、1ポイント取れた。ショートは多様できないけど、まずはいろんな打ち方してスマッシュを封じる動きをしないと。網野さんにしていたようなスマッシュは、今の俺じゃ取るの難しそうだし。


「次、行きます。」

「おしゃー!こい!」

―スッパーン。

「今度はこっちか。どりゃ!」

―パーン。

「…そこ。」

―ズパァン!

「ツー・ラブ」

「ここで加速を使ったか。魔力の使い方もよく分かっているな。」

「翔くん速い。そっか、あんな使い方も出来るのか。成る程…。」


2ポイント取れちゃった!俺が一番びっくりだ。動きもイメージした通りになった。

さて、ここからだな。意表を付く様な形を取ったけど体感がいいからか割と打ち返してくる。

コース気にしてもっとギリギリ攻めてみるか。


「…ふぅ。は!」

―スッパーン。

―パーン。

ローランドさんのハイクリア高いな。

「コースは右に…は!」

―パーン。

「甘いぜ!うりゃ!」

―ズパァァン!!ゴン!

「サービスオーバー、ワン・ツー」

「しゃぁ!1ポイント返したぜ!」

「…まじか。あれ跳んで打ち落とすのか。しかも全然見えないし…。」


試合をしてみると、始めはいけるかな。なんて思っていました。

バック側にハイクリア狙ったら、見事に打ち落とされた。

ジャンプ力も体感も強いから、ちょっと無理な姿勢でもあの速さで打てるのか。

しかも床に落ちた時に、鈍い音した気がした。

あれはもはや殺人スマッシュだ。

次は相手のサービスだ。始めにリードできたのは、そのままキープしていきたい。

さて、次はどうするか。いろいろ試したい事あるけど。

そんな事も言ってられないな。次は決めてやる!

そんな密かに熱い戦いが始まりつつあった。

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