第27話 熱いのは心の中だけで?

次はローランドさんのサービス。どうでるのか。


「しゃぁ!」

―スッパーン。

「…高めか、クリアは打ちませんよ。」

―スポーン。

「ここでドロップを打つか。ローには有効だな。」

「そうですね。ただ、このままではないと思いますよ。」

―パン。

―スポーン。

―パン。

―スポーン。

―パン。

「…そうか。」

「きりんちゃん。ローランドさんはヘアピンとか打たないの?」

「…あぁ。練習中だ。」

―スポーン。

―パン。

―パーン。

「ぐ。」

―ビュン。

「サービスオーバー、スリー・ワン」

「翔はよく相手を見るな。ドロップとロブからクリアのタイミングもうまい。」

「そうですね。いつもはもっと慎重なんですけど。焦ってる?」


ふぅ。ローランドさんはうまく乗ってくれた。

見た感じ通り、ヘアピンみたいな繊細な球種は苦手とみた。

いつもならもっと焦らす方が効果的なんだけど、俺には時間がない。

さて、次はあれか。


「すぅ…は!」

―スッパン。

「お、どらぁ!」

―スパ!

―スパ!

「いいねぇ!ドライブ!」

―スパ!

「は!」

―スパ!

「しゃぁ!」

「…。」

―スッ。

「アウト。」

「フォー・ワン」

「…ローランドさんパワフルですね。」

「ローは完全に翔の手玉だな。」


今のドライブで大体の種類打ってみたけど。やっぱりローランドさんはパワー型だな。

スマッシュは脅威でしかないけど、それ以外は力が入りすぎてる。

いや、加減知らないのかな?常にフルパワーな感じがする。

先輩も見ているわけだし、無様な姿は見せたくないな…。

さて、ここからだ。


「…。は!」

―スッパン。

―パーン。

「ここは左右に振って…。」

―スパ。

―パーン。

―スポーン。

―パン。

―ズパァン!

「ファイブ・ワン」

「がはは!やるな翔!楽しくなってきたぞ!」

「はは。こちらこそ。次行きますよ。」

「おう!ガンガン来い!」


ローランドさんは気持ちが強いな。4ポイント差が付いても焦ったりしていないな。

感じは掴んできたし、一気に攻める!


―スッパン。

―パーン。

―スポーン。

―パン。

―スパ!

―スパ!ばす。

「ネット、シックス・ワン」

「ふむ。ほぼ魔力を使わず、球種だけでうまく攻めてるな。」

「…ですね。」


―スッパン。

―パーン。

―スパン!

―パーン。

―スポーン。

―パン。

―スパン!

―パン。

―パシュ!

「セブン・ワン」

「んー。…翔くんぽくない。」

「どうしたのか和歌?今のプッシュも絶妙なタイミングだったが。」

「いえ。なんとなく。攻め方が荒いかなって。一か八かって感じが。」


「エイト・ワン」

「おし!」

「はは!いいぞ翔!どんどん来い!次こそ俺が決めてやるぜ!」


「ナイン・ワン」

「そうか?私が見るには効率のいい攻め方だと思うが。」

「あ。悪いって事ではないんですよ。んーなんだろう。」


「テン・ワン」

「っし!まだまだいきますよ!」

「がはは。このままでは終わらないぜ!」


―スッパーン。

「ぬ。ここで高いのが。」

―スパン!

「やっぱり、スマッシュですね。ただこれなら…」

―スパ!

「ぬお。」

―パン。

―スパン!

「イレブン・ワン」


不意打ちでロングサービスやってみたけど、体勢が少し崩れたくらいではスマッシュしてくる。

ただ、ジャンピングスマッシュ程強力ではなかったから打ち返せた。

勝つならこのまま攻めればいいとこまで行けるだろう。

だけど、あのジャンピングスマッシュを網野さんは打ち返してたな。

この試合で俺も打ち返したい。ポイント差は少し作れたし。

いくなら今しかないな。

あまり熱いところは見せたくないし、クールに攻略するぜ!


「あ。そうか。翔くんはこの為に無理に攻めたのかな。」

「和歌には何か分かったのか?」

「ふふふ。見てれば分かりますよ。翔くんはあー見えて負けず嫌いなんですよ。」


俺の知らないところで、いろいろばれてるが。

試合に集中している俺とローランドさんは知る事はない。

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