引き出しの隅っこの消しゴムとえんぴつ

@halunatuakihuyu

第1話 教室から見てた空



教室の外は 秋空

元素記号は覚えたし

英語を解読できるようになったのに

でも

隣の子が どうして 涙ぐんでいるのか

僕にはわからない・・・


秋空の美しさは わかるけど

この 心の虚しさは何だろう


人は便利さと豊かさを履き違えてしまい

豊かさを売り飛ばして 便利さを買いあさり

会話を減らし 猜疑心を増やし

親切はお節介になり

無関心というコートを纏い 行き交う人々


巨大な臆病なネコはネズミをズタズタに引き裂いた

その夜から 巨大な臆病なネコは

小さな小さなネズミたちに かじり殺される夢にうなされる


知恵のあるブリキの梟は 荒廃した森に住み

次の卵を産むために 今生んだ卵を食べる

そして 新しい鳥小屋を作るために

最後に残った自分の止まり木を切り倒してしまう


正義と正義が戦ったあと 消えていった魂の他に

いったい 何が残るのだろう?


正義を振りかざす前に 悪の心の痛みを知りたい

何もわからずに こぼれ落ちていった命は

その命の復讐を望むのだろうか?


悪のために消された魂と 

正義の名のもとに消された魂は

天で巡り会ってしまった時 何を語るのかな


正義という暴力を振るう拳じゃなくて

彼等の心の声に傾ける耳を持ちたい


そんな事考えてたら 先生にさされた


答えられる分けねえだろう

聞いてねえんだから・・・

・・・立たされた


隣の子は まだ泣いている


今度の休み時間 話しかけてみようかな

ひょっとしたら 涙の訳 分かるかも

どうして 泣いていたのかは 聞かないけど


君だったら ひょっとしたら

今の僕の この気持ちを・・・


元素記号は覚えたし

英語を解読できるようにもなったのに

でも なぜ 僕は・・・


教室の向こうは 10月の青い空



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