第26話ヘンリン
「
「勿論さね! ほら、
「見えた!
「
――馬の脚が雨も降っていない地にて
「チッ……口に泥が……なんだこれ? 赤いみ――」
泥だらけになった顔をあげ、泥を吐き出しながら、地面を見る……その顔は
「違う、血だ……
大地を染め、血川は
血の流れに逆らう様に
戦さ場の匂い、死臭が
「まさかど――」
「我……魔人ナリ」
ゆっくりと……動かしにくい
上半身の着物は何度も斬りつけられたのか、ボロ布となり、
「マモルため」
一歩……
「幾百幾千を殺し尽くし」
二歩……
「魔人と成り果てヨウトモ、我は民を守護セン」
三歩……
どれだけの人を斬ったのか、切っ先は欠け、刃こぼれが遠目に見ても分かるほどの刀。
「
歯噛みをする良乃、腰に挿した刀を抜く。
四歩、五歩と近く将門に対して刀を向ける。
「おぉおお!!」
魔人の
将門の体は、とうに限界を迎えているのか、刀を振るう動きに精彩を欠き、鋭さ無く、ただ力任せに振り下ろす。
「はっ! そんな
「義姉さん! 将門兄いの狙いは足元だ!」
背後より少し遅れて到着した
「なん」
刀は地へと叩きつけられ、
屍が天へと
「これは死んだかね……短い人生だったねぇ、
ばたつかせるのを諦め、頭から地面へと落下する
「諦めるな! 今助けに――ぐっ! 数人がかりでも兄いを止められんか!」
――逆に将門は鉄拳を用いて刀を折り砕いてゆく。
天高くより、地に落ちる
「兄い! あんたの嫁が死んじまうぞ、早く正気を取り戻せ!」
必死に
その拳打は鎧を砕き四散させ、骨を折り曲げる。
「もう駄目か……義姉さん、兄い」
風切り音が鳴り鉄拳が直撃――
「
風に乗り、しゃがれた声が両名の耳に届くき、良乃は一瞬跳ね上がった感覚と共に足から着地する。
「あれ? 生きているね、儲けもんだねぇこれは」
「何故か知らないが……助かった」
目を凝らすと
一本や二本ではなく……束になった髪が幾本もが
黒衣の四人が髪の元を持ち将門を留めていた。
「我ら
しゃがれた声の
「あんたらが将門の言っていた『ふうま』だね」
「その名は我らではなく……次の代の者に……我らはただの影……
「そうかい……なら
「我らには怨念を操り、自身の力にする技法があります故……御安心召されよ」
「我が右腕は鬼の腕」
翁の右腕が暴れるように動きだす――
露わになった右腕は人ならざる腕、爪は長く黒く変色し、赤黒い肌に体とは
「此の世ならざる腕は
「捕まえた……ぬお!」
鬼の腕が勢いよく引き抜かれ、その手には
「さあ……
翁の言葉に反応し、鬼の掌で
「終わりましたぞ」
その言葉と共に
良乃は
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