異聞平安怪奇譚
豚ドン
プロローグ
第1話起こり
「乱が起こる」
男の名は
そんな重大な危機を言われても平伏してる者達はピクリとも動かず次の声を待つ。
「近い時に東国と西国の両方より、ほぼ同時期に起こる。詳しい話は
「はっ」
平伏している者たちから一斉に鳴り響いた声により揺れる
勢いよく間の
「
その
「
誰も居ない間で畏まった物言いをする男。
「うむ……
藤原忠平に促され、ゆっくりと体を起こす。――朝服が、はち切れんばかりに盛り上がっているのが分かる。
「では、御言葉に甘えて楽にさせていただきます。やはり、着慣れない朝服は首が痛くなります」
首を
「ふむ、他に人などおらずとはいえ、形式は大事であるからな。それにいつもの様に始めた方が、気も身も引き締まるであろう? これも一つの優しさよ」
その冗談に二人しかいない場の、緊張が解ける。――たっぷりと時間をかけてから藤原忠平は口を開く。
「してな、乱が起こる前に確実に刺客が送られてくる。その刺客の排除を頼みたい」
その言葉を聞き、険しい顔つきとなった男は
「刺客ですか、狙われるのはもしや……いや、分かりきった事ですな」
「その通りだよ、まんじゅう殿! 」
鈴鳴る音のような愛らしい声とともに、
「伯父上さま、説明ありがとうございます……ここからは余が説明します」
するりと音を立てずに座り、話を続ける。
「まず余が狙われているのはまことだ、刺客……恐らくは
命を狙われてるというのに最後まで笑みを崩さずに説明をし、摂政を残したまま一陣の風のように間を去っていく。
摂政とまんじゅうと呼ばれた男はお互いに顔を見つめ同時に
「相も変わらずの、御様子……元気なのは実によろしいことで。愛いものですな」
「ふむ、春風のように穏やかと思えば
笑い声が漏れたところに、
「まんじゅう殿、あとな
手をふりふりとしながら、
魂の奥底より、更に根っこ……
それは見るもの全てが恐怖し
彼らの
攻防の最中に一人の大将らしき
その刀は光を
――天を二つへ割り、振り下ろされた光の
幻視。遠い過去に起こった闘いか、または未来において起こる闘いを幻視していた。
ゆらりゆらりと
「いつ観ても……幾度、観ても同じ」
堪えていたものが決壊したかのように、啜り泣く。
「余の民が、臣下が……御魂となりて飛んでいく。余は……余は……どうすれば?」
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