第七十七話:二頭飼育のすすめ

 


第七十七話:二頭飼育のすすめ




 黄麗の壱月、現在時刻は夜の11:30。


 いっそう祭りに華やぐ夜のエアリス。街の南部寄りに位置するアルトマンの店の中、橙をあやすギリーの声が聞こえてくる。ぐぁぐぁ、という声が非常に可愛らしいという親馬鹿全開な感想を抱きながら、自分は苦い顔でアルトマンに向き合った。


「結論をどうぞ」


「相性が微妙によくない」


 間髪入れずに答えるアルトマンが思わず憎らしくなり、自分の唇がへの字に曲がるのがはっきりわかった。

 契約は終わったから、次の卵を連れてこいと言って先に店に戻ったアルトマンに、ニブルヘイムの落とし子の鑑定をお願いした自分は、すっかりその結果に参ってしまっていた。


 卵を見るなり、それはまずい、と唸ったアルトマンにも物申したいが、ニブルヘイムにも小一時間ほど文句を言いたい。


「なんで砂竜から氷竜が生まれるんだよ」


「そりゃ、お相手が氷竜だったんだろうなぁ。氷竜は気位が高い。よくぞ卵が出来たもんだ……珍しいんだぞ? もっと喜ぶといい」


「炎竜と氷竜の同時飼育ってどうなんですか」


「私からすれば、氷を油で揚げたい、と言っているような感じだ」


 最悪じゃねぇか。という暴言は、唇を噛むことで呑み込むことに成功した。真顔でそう答えるアルトマンは深々と頷きながら、細かい種族は生まれてからだが、まず間違いなく氷竜だと保証してくれる。


「もしかしたら――」


「ありえない。私が触ろうとして、私のグローブが凍り付いたのは見ていただろう」


「……」


 ニブルヘイムの卵をこの店に持ち込み、さて鑑定をとアルトマンが卵に触れた瞬間、なんの前触れもなくそのグローブが嫌な音と共に凍り付いたのは、自分も確かに目撃した光景だ。


 警告も何も無いその仕打ちに、驚いたのは自分だけで、アルトマンは氷竜なら当たり前だと涼しい顔でうそぶいている。


「氷竜は気位が高く、機嫌を損ねればとても攻撃的だ。私を殺す気で不意を打つようなら、まず間違いなく中身は元気だし、孵る直前だと思って構わない」


「殺す気……」


 アルトマン曰く、ヤル気満々の一撃だったらしい。今も、まるで舌打ちでもするように内側からごつり、と鈍い音が聞こえ、そのまま卵は沈黙している。

 目で問えば、やはりアルトマンは嬉しいような、嬉しくないような答えをくれた。


「君の手が凍るわけなかろう」


「そりゃ、冷たさなんて感じたことないですけど……」


 目の前でそれを目撃すれば、やはり怖いものは怖い。はー、と溜息を吐きながら卵を撫でれば、逆に温かみさえ感じる。しかし、自分はさっき見ていたぞ、お前の痛烈な一撃を。


「氷竜の親は魔力を注ぎもしないし、そもそも卵なんてそこらへんに放り出すのが当たり前だ。そのせいか、氷竜の子はモンスターとしては珍しいことに、魔力を注いでくれた者、ではなく、自分を育てる気がある者、に懐くという性質がある」


 氷竜の親が狼系のモンスターだったとか、よくある話だ、とアルトマンは言う。自然界の中で自分を庇護してくれる者に懐き、それを親として認めるため、違うモンスターが育てていることは珍しくないんだとか。


「しかし、そんな目撃例も滅多にないほど、氷竜の卵は少ないものだ。気位が高すぎて、そうそう卵が出来るほど他の竜種と慣れ合わないはずなんだが……雄竜もどれだけ貢いだものか、苦労が窺える……」


「ニブルヘイム……」


 思うのはまず、どれだけニブルヘイムが頑張ったか、という部分だ。あの性格で、あの感じ。相当粘着質にいったのではないだろうか。それで子供まで作ったのだから、中々にしたたかというか、なんというか……。


 そこまでするなら、子供も自分で育てろよ、と呟けば、アルトマンがあっさりとそれに答えをくれた。


「砂竜にとって氷竜は天敵に近い相性の悪さだ。寧ろ、言い寄ること自体が自殺行為に等しい。よく子供が出来たと思うよ」


「なるほど。アイツ、子供が氷竜だってわかってたな」


 だからこそ、人間相手にあそこまでへこへこしてでも頼み込んだわけだ。アルトマン曰く、孵る寸前までは魔力を与えられていた、という部分から、孵る寸前までいったものの、自分では育てられないし、育てたくない。


 しかし、子供が可愛くないわけではないので、適当な人間に任せるのは嫌だったと。そんな中、不意にアルカリ洞窟群を訪れた三人の人間の中で、何故自分に卵を託していったのか。それは、


「……ギリーがいたから、か」


 ちらり、と視線を向けた先で橙と戯れる大きなリカオンもどきの姿を見る。自分の視線に気が付けば、すぐに丸い耳をぴんと立て、どんな命令も取りこぼさぬように集中する真面目な性格であるギリー。


 ギリーのことをよく知っているようであったニブルヘイムは、自分ではなく、ギリーを通して自分を信用したのだろう。

 そう考えると、ギリーはただ単に契約モンスターというだけの存在ではなくなっていた。自分に様々なことを問い、支え、新たな繋がりを作ってくれる、稀有な存在。


 感謝と、何でもないことを伝える為に、にこりと微笑めば、ギリーは嬉しそうに尾を振ってから、構ってくれと差し出される橙の腕に鼻先を向ける。


 腕の中の卵はふるりと揺れて、もう後は殻を砕くだけなのだろう。アルトマンはすぐにでも生まれて問題ないと断言しているし、自分も意を決して卵にそっと唇を近づける。


「おいで」


 出ておいで、と柔らかく声をかける。分厚い殻の向こうにも届くように、そっと唇を寄せて。

 声を聞き届けたか、それとも声と共に注ぎ込んだ魔力に反応してか。震える卵の表面に、薄らとしもが降り始める。


「む――冷たくない」


 不思議なことに、卵を抱え込む自分の手にも降り注ぐ霜は、少しも冷たくなく、指先を、乳白色の卵を、真白く覆っていく。霜は次第に凍り付き、色付いた氷がぱちりぱちりと、爆ぜる火のような音を立てながら広がっていく。


 アルトマンはそれを見るやいなや、ダッシュで2階へと引っ込み、ギリーも橙をくわえて店主の後を追って階段を駆け上がった。

 それを見届けたかのように卵の凍結は加速していく。分厚い氷が自分の手ごと卵を覆い尽くし、その中で外殻は泡を立てながら溶けだしていく。


 凍結した表面からは小さな雪を含む風が吹き、つむじ風のように自分を取り巻いて渦をなした。すっかり溶けきった外殻の泡に阻まれ、未だ中身は見えない。氷の卵、と言っても過言ではない手の中のそれは、むくむくと急速に膨張していく。橙の時に見たように、卵よりも中身が肥大化する不思議な現象。


「……っ」


 吹き荒れる風に息が詰まる。真っ白に霞む世界で目を凝らせば、眩い光がそんな足掻きも無視して容赦なく視界を塗りつぶした。

 声なき声が上がり、必死に掴んでいた氷の感触が手の内から消え去る。代わりに指先に触れるツルツルしたもの。ゆっくりとまばたきを繰り返せば、ようやく世界が色を取り戻す。


『……』


「おお……」


 橙に比べれば長めの首、寒色に彩られた身体、ガラスのようなもので薄っすらと覆われた先に覗く藍色の瞳が、じっと自分を見つめ返す。


 なだらかな曲線を描く、鳥のような翼が4枚。頭は小さめで、前足は無く、それでいて華奢なドラゴンかといえばそうでもない。発達した翼と下半身。小さくとも強靭で、がっしりとしているように見える後ろ足は太く分厚く、立派な鉤爪が自分のズボンをがっつりと掴んだ。


 尾は太くしなやかで短め。猛禽類によく見られるブレーキの役目を果たすであろう尾羽が広がっていて、飾り羽のような長い羽が数本飛び出している。

 これもイメージ通りのドラゴン、ではないが、今度の子はしっかりと飛べそう、というか飛ぶことに特化していそうな竜だった。


「……」


 恐る恐る、生まれたての竜に手を差し出す。気位が高く、獰猛、という前情報が、自分を慎重に動かした。


 ゆっくりと差し出した手に、子竜はふん、と鼻を鳴らして小さな顎を擦り付けてくる。羽毛ではなく鱗だが、橙の鱗よりも随分と柔らかな感触だった。弾力性があり、つるつるとした手触り。


「……ダメだ、どっちも可愛い」


 すぐに意味も無く鳴く橙とは違い、一声も発さない二頭目の竜もどちらも物凄く可愛かった。

 二階から様子を窺っていたアルトマンの脇をすり抜け、橙が犬のように段差をばたばたと駆け下りて、ぐぁぐぁ言いながらこちらに駆け寄る。


「橙、ほら兄弟だよ」


『ぎゅぅう?』


 興味津々に鼻を鳴らし、短い手足で自分の膝の上に上ろうとする橙を、氷竜の子は細めた目でじっと見下ろす。それから自分にそっと視線を向けるので、大丈夫だ……と思う。と微笑んでみれば、氷竜の子は驚いたことに自分から橙の目線に合わせて翼を使って舞い降りた。


 まだまだ滑空のような感じではあったが、体重が軽いからだろう。正に羽のように音も立てずに床に舞い降りた氷竜の子は、床の埃を一瞥してムッとしたように目を細めたが、すぐに橙の声に反応して小さな頭をそちらに向ける。


 散々、自分が卵同士を並べて兄弟だ、仲良くしろと繰り返していたのが良かったのか、どうやら2匹とも初対面、という感じではない。


 鼻面を突き合わせ、互いに何か確認をしているような素振りを見せた後、床から同時に自分を見上げる子竜2匹。鼻血ものの可愛さだ。


「……ちょっと……動かないで」


 思わずスクリーンショットを連写。一緒に風呂に入ったチビにも勝る可愛さだ。ああ、思い出したら彼等にも会いたくなってきた。

 とりあえず目の前の可愛い2匹を満足いくまで記録した後に、ようやく自分は2匹とまともに目を合わせた。橙はぐぁぐぁ、と鳴き、氷竜はじぃぃと自分を見つめてくる。


「なぁに?」


 声に出して聞いてみても、子竜2匹にはまだ言葉は意味のわからない音の塊でしかないようだ。橙が犬のように後ろ足で立ち上がるので屈んでやれば、どうやら抱っこの催促だったようだ。迷わず腕の中におさまろうとするので、そのまま抱きかかえれば、氷竜の子はひらりと羽を動かして自分の肩に飛び上がった。


 そのまま立ち上がればまたも2匹は見つめ合い、頷き合い、ふん、と落ち着いた様子でどちらも身繕いを始め出した。

 2階に避難していたアルトマンが階段を駆け下りながら、嬉しそうに声をかけてきた。


「ああ、元気そうだね。今、竜名鑑のページを出すから待っていなさい」


「あの……これ、さっきの……なんだったんでしょう?」


 子竜達の行動の意味が分からず、首を捻る自分にアルトマンはあっさりと答えをくれた。


「定位置を決めていたんだろう。どこが自分のポジションか、話し合っていたんだと思うよ」


 揉めなくてよかったねぇ、と言いながら分厚い図鑑を捲るアルトマンは、そうさらりと言うが、揉めていたらどうなっていたかを想像する自分はそう簡単に笑えない。


「些細なことで……」


「――大爆発。そうだよ、竜を2頭同時に飼うということは、そういうことだ。普段から良く行動や仕草を観察して、争いの前兆を拾えるようにするのが、主人の役目だ」


 そうでないと、うっかり他の街で連れ歩けないからね、と言いながら、アルトマンは重そうな図鑑を橙の時と同じように目の前に広げて見せた。


「これだよ、竜名鑑126ページ。氷凍系の蓋氷翼竜種がいひょうよくりゅうしゅだ。瞼の上に、更にゴーグルのように被さる硬膜があるのはわかるだろう? これが氷の膜のように見えることから、この種はたとえ炎獄系でも蓋氷竜種と呼ばれる。ちょっとややこしい種だ」


「竜名鑑分厚いですけど、竜種って何種類あるんですかね……」


 詰め込み過ぎだろうと思いながら開かれたページを見やる。氷凍系のドラゴンにふさわしく、棲家は常に氷雪舞う大陸。貼られた写真に写るのは、悠然と空を舞う巨大なドラゴン。4枚の翼をはためかせ、アクロバティックに身体を捻った瞬間が激写されていた。


 :吹雪吹き荒れるフォルスト大陸の空を舞う二大巨頭の内の一種。蓋氷翼竜種の中では外洋に生息する種に次いで、2番目に巨大な種。氷凍系の蓋氷翼竜種はこの1種を残して過去の戦争により現在絶滅している。成竜の翼を広げた長さは平均で70メートルを超える。4枚の翼と巨大な尾羽を使い、繊細で力強い飛行を得意とする種。速度よりも空中での制御力に特化しており、どんなに小型の獲物が相手でも逃がさない。前足が翼に変化した種であり、代わりに後ろ足が強靭に発達している。翼以外は全身が細かい鱗に覆われており、最も特徴的な部分は全ての尾に強靭な骨と筋肉があること。


「全ての尾に強靭な骨と筋肉?」


「そう、その飾りのように見える細長い尾羽の1本1本には骨と、筋肉がぎっちりと詰まっている。ムチのようにしならせて獲物を打ち据えるのにも使えるし、氷壁に垂直に突き立てて軸にしたりして、予測不能な動きをするのに使われるものだ」


 怒り狂うだろうが、羽をちょっと焼くか切ってみれば、下に鱗に覆われた頑丈な尾が見れるよ、とアルトマンが言えば、何か感じ取ったのだろうか、氷竜はぶわりと翼を広げて唸り声を上げた。


 そのまま、飾りではないらしい尾を自分の首に回し、緩く、しかししっかりと落ちないように巻きつける。確かに、首に感じる感触はただの羽ではない。硬めのトカゲの尾、もしくは蛇のような感じだ。……力を込められたら命は無い気がする。


「どうどう……」


 小さな頭を撫でながら青褪める自分に、2階から顔を覗かせるギリーがうぉん、と吠えた。声に反応して嬉しそうに声を上げる橙に、ゆったりと階段を下りてくる。


「ギリー……手伝ってね」


『もちろんだ、主。頑張ろう』


 しっかりと頷き、心強い返事を返してくれたギリーは重さで腕が震えているのに気が付いて下りてきてくれたらしい。ギリーにも大層懐いている橙は、ギリーが呼べばあっさりと彼の背中によじ登った。


 なんて気が利くのだろうとしみじみとした気分に浸りながら、ギリーの方にはいかない氷竜を腕の中に呼んでみれば、意外とあっさり肩から腕の中に滑り降りてきた。


 橙と違い、随分と軽い。いや、実際には普通の重さはあるのだが、橙に比べるとものすごく軽く感じる。当社比、というやつだろう。


「さて、もう一度登録だね!」


「神官長、また泣くでしょうね」


 比較的人懐こい橙でさえ他人には触らせないのだから、この気位が高そうな氷竜は更に他人の接触を拒むだろう。今度こそ、と思いながらも触れなかったとくれば、神官長はさっきよりももっとへこむに違いない。


 生まれてから未だ、一声も発さない子竜を抱えながら、自分はそれよりも大事なことに気が付いた。


「……名前どうしよう」


「名前なんて道中考えればいい。それよりも氷竜と炎竜で二頭飼育をするなら、注意しなければいけないことが山ほどある」


「具体的には?」


「まず、相性は最悪、ではないがそこまで良くない。悪い方なのは確実だ。そこまで属性に優劣があるわけではないが、遊ばせるときは特に獣竜種に気をつけなさい。幼竜のうちは力加減を間違えやすい上に、獣竜種は特に筋力が強い種だ」


 決して氷竜の方も華奢というわけではないらしいが、それでも獣竜種の飛びぬけた力には気を付けないといけないらしい。竜殺しの名は伊達ではないようだ。


「橙の食料は果実と聞きましたけど……何が一番いいとかありますか?」


「竜種の肉以外はあまり食べないとされているが、如何せん断言できるほど研究された種ではない。こればかりは、様々な肉と果実を与えてみて試していくしかない。ログノート大陸で採取できる果実はそこまで多くないから、肉を食べるように誘導した方が今後の飼育が楽になるだろう」


「いろんな肉、ねぇ……」


 未だ、孵ってから一度も、水も食べ物も催促されてはいないし、与えてもいないが、今後もそうやっていくわけにはいかない。アルトマンが言うように、ログノート大陸で量の確保が難しい果実よりも、狩りをすれば手に入る肉で餌付けをしたほうが良いだろう。


「橙は雑食そうな雰囲気があるけど、この子は……」


「氷竜の方は正直に言おう。小型モンスターを追い回している様子を何度か目撃されているから、肉食であろうと言われているが、如何せんどこの大陸からも遠いフォルスト大陸の竜種だ。氷竜自体が非常に攻撃的なこともあるし、観察が容易な土地でも無いことから、ほとんどそういった情報がない」


「ニブルヘイムのやつ、ログノート大陸から出られないとか言っておきながら……」


 何故そんな遠方の竜といちゃついているのか。やはり、あの大陸から出られないだとか、責任感、だとか言う発言は半分はいい加減なものなのかもしれない。一杯喰わされた気分だ。


「……砂竜って吹雪平気なんですか?」


「どこで出会ったのかは知らないが、あまり得意ではないはずだな。他の竜種よりかは、耐性があるだろうが」


「へぇ……」


 ニブルヘイムの恋愛事情はまあ置いておいて、とりあえずは色々と試してみるしかないらしい。まずは街で普通に売っている鶏肉などを与えてみようとは考えているが、他にも考えることは山ほどある。


「温度管理とか……籠の用意とか……」


「温度管理はそれぞれの竜が自分に快適なように地力で環境を作り変えるだろう。それに対応した籠さえ用意してやれば、問題ないはずだよ」


 竜種に限らず、一部のモンスターは自身の周りの環境を局所的に改変することが容易であるらしい。時に、わざわざ砂漠に地力で水たまりを作り出して暮らす小型の竜種もいるらしく、より外敵が少なくなるという利点を求めての行動だとか。


「竜種なら大抵の種が簡単にそれをこなす。入れ物だけ気を使えばいい」


「なるほど……そう言えば、モルガナもそういうことが出来るとか言ってたな」


 どこにでも生息するために、環境を激変させる能力を備えたモンスターである、ユニコーン。あの見た目で草食ではなく肉食寄りの雑食だと聞いた時は少しショックだったが、そういった暮らし方をするモンスターは意外と少なくないらしい。


 そうなると問題は入れ物としての籠の素材だ。エアリス出発までの間、やることは山積みだった。


「……よし、やるか」


 竜はようやく無事に孵った。2頭のまるで性質の異なる竜を手に、自分は再度、決意を新たにした。忙しく、でも楽しい日々が、始まる予感がした。



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