タイ映画 キング・ナレスワン/ブンミおじさんの森
ハリウッド映画、殊にエンターテイメント路線のアクション物は避けてます。
何かがバボーンと爆発して、男と女がブッチューする話は見飽きました。
大体予想がついて、見る前に萎えます。
私は暴力・下ネタ・ギャグ漫画しか描けませんが、実は文化的な映画の静謐な感動を好む、とても教養に満ちた優しさに溢れる男です。ウソじゃない。今お前心の中で俺の事バカにしたろ殺すぞ。
ニポンで映画といえばアメリカですが、世界各国の映画も観ます。
さて、前日「キング・ナレスワン」というタイの映画を見ました。
これはスペクタクル超大作です。
多分500年くらい前のタイが舞台で、ビルマとタイが戦争してるわけです。
タイ側はシャムやらピッサロヌークやらアユタヤなどの小国分かれてて不利なため、どこの国だか忘れましたがタイの王子であるナレスワンはビルマの王様に人質として差し出されるのですが・・・
このビルマの王様が苛烈ではありますが、また慈悲深く賢明な名君でもあり、王はナレスワン王子の聡明さをいたく気に入り、ナレスワンを自分の息子と同様に愛して育てるのです。
まぁこの辺が東南アジアの感覚で、ちょっと我々日本人とは異なりますが、そういうのを知る事ができるのも映画のいいところ。
やがてナレスワンは精悍な若者に成長し、父同然に自分を育ててくれたのビルマ王は死去し、ナレスワンは祖国独立の夢を果たそうとビルマ国を出奔します。
そして、母国で兵を集め、挙兵する事になるのです。
だが、そんな事はどうでもいい。
そんなナレスワンの元に、各地の豪族や英雄たちが馳せ参じます。
中には黒人とかインド人ぽいのもいまして、
しまいには「拙者の名は山田長政!日本から助太刀に参りましたぞ~!」とか行って登場するのですが、ネットで聞きかじった情報によると山田長政はナレスワン王より20年ほど後に活躍した人物だそうで、全然時代考証的におかしい話なのですが、そんな事はどうでもいい。
タイ人にとって20年ぐらいの時空の歪みなどマイペンライなのでしょう。
閑話休題。
「ブンミおじさんの森」という映画も見ました。
不思議な映画でした。
具体的に言うとよくわからん映画でした。
農場を経営するブンミおじさんが病気で死期を悟るという話なのですが、
20年ほど前に死に別れた妻の幽霊が現れ、ブンミおじさんと、おじさんを世話する妻の妹のオバチャンと普通に飯食ってます。
そこに、森で猿の精霊になって行方不明になった息子も現れます。猿の惑星っぽい感じのフォルムで。
もちろんブンミおじさんたちは驚かず、普通にこの世のものではない者達と語らい、ごはんを食べるのです。
映像の美しさには息を飲みます。
しかし話はスローテンポで難解です。
私もタルコフスキーやルシール・アザリロウィックの映画を見て耐性を付けてきたつもりなのですが、ちょっとこの映画の意味するところがわかりませんでした。
どのくらい分からないかと言うと、フォークナーの「怒りと響き」くらい難解です。
もしかしたら、この映画に意味を求める事自体が間違った接し方なのかもしれません。
そうは思いませんが。
ネットの評論を見ると、けっこう評価してる人もいて、へーそうなんだ、と思いましたが、ネットの評価なんぞアテにならないと思うか、確かにそういう人もいるだろう自分には縁の無い映画だったんだろうと思うかは各人の自由です。
まぁ、私個人は、こういう表現に全振りした作品には縁のない人間だったと思っています。
でもそんな事はどうでもいい。
好きにしろ。
実際私もバンコクに行った事も2回ほどありますが、
タイ人のメンタルを見てると、この人たちって銀河を泳いでブラックホールに吸い込まれた先の向こうの世界でも宇宙人と仲良く暮らしてそうだなぁと思う次第であります。
この映画を見て確信しました。
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